“人機一体”が現実化する日


 「この先は、AIが人間にとって代わるのではなく、人間と融合する。つまり、人間がサイボーグになるという未来もやってきます」と言うのは、早稲田大学の文化構想学部の高橋透教授だ。高橋教授は西洋哲学が専門でありながら、サイボーグをテーマにした研究を行っている。IoT、VR、ウェアラブルデバイスといった近年のテクノロジーの進化で、SF漫画『攻殻機動隊』ような“人機一体”の世界が現実化すると言う。
 「そのとき、人間の脳は『BMI』(ブレイン・マシーン・インタフェース)になります。BMIとは、脳で念じたり考えたりすることで、あらゆるモノに働きかけることができる装置のことです。脳とインターネット上にあるAIが直接結びつくのです。BMIでは、モノだけでなく、人間の脳同士を接続して情報のやり取り、交換ができるようになるのです。
  2012年に日本で公開された米映画『TIME/タイム』では、人間の寿命が貨幣になる世界が描かれました。実際にこうしたテクノロジーが可能であるかはわかりませんが、貨幣=生体・生命情報(脳内快楽情報)=デジタル技術という関係が今後は問題となると考えられます」

 つまり今後は、経済などでさえAI抜きにしては考えられなくなる。

 それにしても、日本の政治家は、こうした未来に対しては、本当に鈍感である。また産業界でも、ロボット開発は世界に伍して進展しているが、AIが提起する倫理や哲学問題に関してはそれほど議論されていない。

 高橋教授は、こう言う。

 「西洋哲学は、これまで人間は死すべき存在であるということを前提としてきました。しかし、もうそういう世界は終わったのです」