これら6つの事実からわかることは、日本の農業は零細で非効率的であり、その大半を占めるのが主にコメを作る比較的裕福な兼業農家である。そして国内生産額が少ない割に多くの国の予算が付けられているということである。

 さて、このような非効率的、非合理的な状況になっている原因は何であろうか。それは農協・自民党・農水省によって「小規模兼業農家戸数」の維持が図られてきたためである。

 具体的に例を挙げると、(1)米価維持(高関税と生産調整)、(2)農地法(一般企業の参入制限、農地利用・流通の制限)、(3)農協の優遇(銀行等の農協金融への参入制限、金融・経済の兼業が認められている)

 私は日本農業が国際競争力を高めるためには、まず農協改革、具体的には農協団体の持つ優遇面の大幅な撤廃により金融・経済両活動の分社化を行い、それぞれ税制や監査制度を一般企業・銀行等と同じ基準に合わせるべきであると考える。もちろん銀行等の市場参入を促すために貸付時の信用保証も付けられる仕組みにする。次に農地法改正により株式会社をはじめ一般営利企業の市場参入の自由化。農地転用や農地売買の条件緩和を行い、農地の集約化、大規模化をはかり生産性向上など、生産や流通のコスト低減を実現する。そして状況に合わせて関税、生産調整の見直しを行うことであると考える。

 もちろん、これらの改革によって一部の人といえども大きな痛手を伴う点は覚悟しなくてはならない。そこで、最終的なソフトランディング策として、戸別の所得補償制度や転職に際してさまざまな特別優遇措置を講ずる必要があるだろう。

 私は幕末のペリー来航から始まった日本の開国と今の日本の農業が重なって見えて仕方がない。ペリー来航の後、日本の開国は多くの日本人が正しかったと認識していると思うが、相当な困難が伴ったのも事実だ。今回のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をきっかけにした農業の国際化でも、関係する人々が一定の大きな痛手を負うことになるだろう。 

 だが、競争力が高まることで、それ以上に日本の国益に叶うものであると信じている。

 今、農協改革は始まったばかりである。一部の人が損害を被ることもあるだろうが、国民全体が得をする政策を実現するためにも、日本農業の発展に向けた支援をしていくことが求められている。

※参考文献 『日本の農林水産業』日本経済新聞社、八田達夫・高田眞(2010年11月22日発行)