何度も〝謝罪〟に追い込まれ

 報ステがなんだか良質な番組だと勘違いされてしまいそうなので、ここでこれまでの数々の不祥事について確認しておくことにしよう。視聴率至上主義故のやり過ぎや、無能故の失敗、政治的無定見などの傾向がみてとれるはずである。

 07年11月27日放送において発生した「日本マクドナルド調理日時改ざん問題報道捏造事件」では、マクドナルドをとっくに退職した元店長代理の女性にマクドナルドの制服を着せて「証言」させた映像を流した。しかも、週刊新潮によると、この女性は古舘が経営し報ステの番組制作にも携わる会社である「古舘プロジェクト」のアルバイトだった。まともな取材能力さえあれば本物の証言者や証拠を揃えることができ、避けられたであろう事件である。悪意よりも無能とモラルの欠如が原因と言える。古舘は「視聴者に混乱と誤解を与えるもの。間違ったやり方だった。申し訳ない」と潔い謝罪を行うことで、視聴者の信頼感を繋ぎ止めることにまんまと成功した。

高視聴率を取っていた古舘キャスター
高視聴率を取っていた古舘キャスター
 マクドナルドのようなテレビ局の巨大スポンサー企業を叩くこと自体は、日本の「反権力」を詐称する報道番組としては異例と言える。そんな中において、スポンサーの意向さえものともせぬ報ステの、何にでも噛みつく狂犬的姿勢はある意味においては賞賛に値するかもしれないが、それも所詮、古舘をはじめとするスタッフの無教養で狭い視野と価値観の範囲で行われているに過ぎない。

 例えば1月18日の放送ではSMAPの解散騒動について古舘が、「タレントっていうのは、事務所あってのタレント。事務所に対して再度、感謝の念を抱くのも当然」というコメントをした。いかにも日本的滅私奉公的価値観に基づくようだが、芸能事務所への配慮を無邪気に披露している。

 報ステの取材能力欠如等の無能さは、放送開始一年後の05年4月18日の放送において既に噴出していた。この日のニュースにおいて、中国深●(=土へんに川)で発生した反日デモの様子と称する映像が流されたが、実はそれは全くの捏造で、実際は香港でおこなわれた反日デモの映像を「誤って」流したのである。きちんとした取材能力があれば実際の映像を入手できたはずであるし、まともなチェック能力があれば映像を「間違える」こともなかったはずだ。「取材する手間暇を惜しみ、バレぬと思って意図的にウソの映像を使用したのだ」と思われかねないとこだが、ただ、反日デモ自体はあったのだろうから、悪意ある反日を意図した捏造報道とは異なるように思える。

 イギリス人リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件に関する09年11月9日の放送も、報ステの無能やモラルの欠如故の不祥事と言える。この事件において被疑者は整形手術を行っているのであるが、当日の報ステは実際に施術した病院とは何の関係もない病院看板を垂れ流し、風評被害を発生させ、またも謝罪に追い込まれた。実際の病院まででかけて映像を撮影すれば済むだけの話なのに、手間暇を惜しんだ結果であろう。