今回の『妹ぱらだいす!2』の場合、こうした不健全図書の指定基準に関する出版元のKADOKAWAの対応に原因があると指摘する声もあります。もともと、この作品は18禁ゲームのコミカライズ版で、当初連載していたのも表紙に「成年コミックマーク」のある同社グループのアダルトゲーム雑誌でした。単行本化するときに、全年齢向けではなく「18禁」にしていれば今回のような問題にならなかったとの見方もあります。KADOKAWAは、2年前にも「18禁」の雑誌に掲載された漫画作品を全年齢向けの単行本として販売し、“旧基準”での不健全図書の指定を受けています。
 とはいえ、それでも『妹ぱらだいす!2』の不健全図書指定に表現の自由の観点から懸念を示す意見があるのも事実です。たとえば、なぜ新基準の初適用が『妹ぱらだいす!2』だったのか、という問題です。新基準が施行されてからすでに2年以上が経過しています。先の4つに当てはまる漫画もあったにもかかわらず、これまで新基準によって指定された「不健全図書」は1冊もありませんでした。

 また、新基準の4つの条件にしても、近親相姦の「不当な賛美」「不当な誇張」とは具体的にどういうものかなど、あいまいで主観的な部分が少なくありません。それもあって、恣意的に運用して表現の自由を制限するのでは、と心配されているのです。

 行政当局がわいせつな表現や社会規範に反する表現を規制できるとしても、どこまでが「健全」でどこからが「不健全」かの線引がわからないと、権力を持つ側が勝手にマンガ表現を規制できることになります。『妹ぱらだいす!2』の問題をきっかけに、青少年育成条例の不健全図書指定がどのように運用されているのか、しっかりチェックしていくことが大切かもしれません。