ところが日本側のそうした公式な対応がまだ出ないうちにケイ氏の母校のカリフォルニア大学アーバイン校では「アレクシス・ダデン教授とデービッド・ケイ教授の『日本の言論の自由への脅威』についての対話が5月12日に催される」という通知が流された。この「対話」はアメリカのアジア研究学会の機関誌「アジア研究ジャーナル」の共催とされていた。この機関紙の編集長格のジョージタウン大学のジョーダン・サンド教授はダデン教授とともに慰安婦問題で日本への批判を続けてきた人物である。

 ダデン氏は2000年の東京での「女性国際戦犯法廷」という模擬裁判で慰安婦問題を追及し、昭和天皇に有罪判決を出すという活動をはじめとして、日本の歴代政権を糾弾してきた。日本の北方領土や竹島、尖閣諸島の主権主張も「膨張主義的な野心」の結果として批判した事実もある。ダデン氏はとくに安倍晋三氏に対して「悪漢」「軍国主義志向」「裸の王様」などというののしりの言葉も浴びせてきた。その一方、韓国とは親密な関係を保ち、韓国政府の対米政策の相談にも乗ってきた実績がある。

 またダデン氏は昨年、欧米の日本研究学者らの多数の署名を得て日本の国民や政府、安倍首相あてに日本の慰安婦問題への態度が不適切だと非難する書簡のまとめ役となった。その際にサンド氏もダデン氏とともに書簡草案の起草や発信の役を担った。

 このように「反日」とか「日本叩き」という描写が当てはまる政治活動家的な人物と国連特別報告者としての日本での調査活動を終えたばかりのケイ教授がすでに日本での「言論の自由への脅威」という結論を打ち出しての公開討論をすることは日本にとってまさに不公正だといえる。

 そのうえに共催組織の代表のサンド氏も日本糾弾という政治色の濃い履歴を持つ人物なわけだ。だからケイ氏の今回の日本での調査も、すでに最初に結論ありきの安倍政権非難という政治傾向がにじむのだ。

 しかしケイ氏の調査結果は本来、国連への報告が主目的なはずである。その過程では「報道の抑圧」を非難された日本政府側がその非難は事実に反するとして、正規の反論をいま準備中なのだ。であるにもかかわらず、ケイ氏は自分だけの結論をアメリカ国内ですでに一方的に広めようとする構えを明らかにした。日本にとってまさに不公正な動きである。

 アメリカの学界にもこのケイ氏の今回の動きを不適切だとする意見がある。ウィスコンシン大学の日本歴史研究学者のジェーソン・モーガン博士は次のように述べるのだった。

 「ダデン氏はアメリカ学界全体でも最も過激な反日派であり、韓国の利益を推進する政治活動家としても知られる。国連特別報告者の肩書きを持つケイ氏がそのダデン氏との密接な協力を露呈した今回の『対話』はアメリカ学界の安倍叩き、日本叩きの勢力がその政治目的のために国連をも利用している実態を示したといえる。明らかに日本や日本語を知らないケイ氏がわずか1週間の滞在で日本の報道や政治の全容をつかむというのは不可能であり、この種の日本断罪は不公正であり、傲慢だ」

 さあ日本側がどう対応するか。日本の報道界も無関心ではいられまい。