ファンをかたる不心得者は鉄道の客ではない


 鉄道会社が不心得者に対して明確な態度を取らない。その理由は「鉄道ファンを逆なでしたくない」「鉄道ファンと良好な関係を維持したい」からであろう。媚びるつもりはなくても、なにか気に障ることをして大勢の鉄道ファンから反感をもたれたくない。炎上したくない。その気持ちはわかる。しかしそれは鉄道ファンを誤解している。

 本稿で慎重に書き分けているように、鉄道ファンと不心得者は違う。鉄道会社はまず、それを認識すべきだ。鉄道ファンは本来「鉄道を好きで、好きな対象である鉄道やその沿線の人々に迷惑をかけない」人である。迷惑行為を繰り返す者は鉄道ファンではない。不心得者である。犯罪者もしくはその予備軍だ。

サクラのピンクと菜の花の黄色の合間を縫って、ゆったりと走るSLを撮影しようと詰めかけta
鉄道愛好家ら=栃木県真岡市
サクラのピンクと菜の花の黄色の合間を縫って、ゆったりと走るSLを撮影しようと詰めかけた 鉄道愛好家ら=栃木県真岡市
 これはどんな趣味の世界でも当てはまる。たとえば芸能人にとってファンは大切。しかし、芸能人に迷惑をかけたり、危害を加える人物をファンとして扱えるか。芸能人だけではない。映画、玩具、スポーツカー、釣り、カメラなど、どの趣味ビジネスでも共通だ。趣味の対象に対して迷惑をかける人物は、どんなに物品を買ってくれたところで、一線を越えればファンではなく犯罪者だ。

 不心得者に対して毅然とした態度を取らないと、趣味の対象となる個人や会社も危険だし、他のファンも安心できない。趣味の提供側とファンが良好な関係を気づけないと、ファンが離れてしまう。ファンを当てにした趣味ビジネスが成り立たなくなる。

 鉄道会社は、こうした趣味ビジネスよりも厳しい態度を取っていい。なぜなら、鉄道事業は趣味ビジネスではないからだ。鉄道事業の主な顧客は通勤通学、買い物、旅行など、用事があってきっぷを買って列車に乗る人々である。

 鉄道ファンは鉄道会社の主な客ではない。「業務に差し支えない範囲で楽しんでいただく分には問題なし」という相手だ。古来からの鉄道ファンも、そこをわきまえて鉄道会社と無難な関係を築いてきた。本来、遊びの対象ではないもので遊ばせていただいている。その謙虚な自覚が「大人の鉄道趣味」を成立させてきた。

 鉄道会社にとっては、不心得者から迷惑行為を受けたり、不法行為の被害に遭ったら、遠慮なく処罰感情を持って対処すべきだ。主な客ではないから遠慮は不要だ。

 不心得者に対して正しい態度を取れば、それを好感した鉄道ファンが増える。撮り鉄の作品や乗り鉄の体験談が観光誘客に結びつくかもしれないし、彼らはオフィシャルグッズを率先して買ってくれるかもしれない。

 お客さんやファンを増やしたいなら、不心得者を徹底的に排除すべきだ。なにも恐れることはない。鉄道会社は法律に則って、正しいことを粛々と実行してほしい。