さて、都知事選を前に、都議会でも最大会派の自民党都連は、この17日に緊急の選対会議を開くというが、自民党は候補者調整に頭を悩ませているのが実態だ。

 現在、有力視されている石原伸晃東京都連会長や小池百合子衆院議員、丸川珠代参院議員らは、「当選ラインの200万票にはかろうじて届くだろう」(自民党都連関係者)と指摘されているが、「石原氏や丸川氏は現職大臣だし、今回の舛添氏の一件で国会議員の多くは政治と金の問題で完全にクリーンとは言えなくなった」という。そうなると、与党側は現職国会議員を擁立しにくい。また、一部で取り沙汰されているおおさか維新の会の橋下徹前大阪市長は、「知名度」やクリーンさは文句なしだが、「テレビ局との契約が秋まで残っており、今回は難しいだろう」という見方が有力だ。

 一方、野党側は前回候補者が細川護煕氏と宇都宮健児氏に分裂したかたちになった民進党と共産党の統一候補が可能かどうかだ。まず、民進党の長島昭久衆院議員(都連幹事長)や長妻昭衆院議員(代表代行)は、非公式な席で不出馬の意志を表明しており、共産党は統一候補の調整に前向きな姿勢だ。となると、知名度があり民進党の代表代行である蓮舫参院議員の名前が上がるが、蓮舫氏は今回の参院選で東京選挙区から出馬予定のため、後釜の参議院候補を探さなければならなくなる。

 「クリーンなイメージで実務家の候補者」としては、この6月末で退任する総務省前事務次官の桜井俊氏は、アイドルグループ「嵐」の桜井遼氏の父親として名前が上がっていたが、15日に「有り難いが、絶対に出ない」とコメントしている。同じく6月末に退任する外務省の斎木昭隆事務次官らも同様の姿勢だという。

「東京五輪の顔」としてスポーツ関係者で名前が上がっているのは、水泳金メダリストの鈴木大地スポーツ庁長官や引退したばかりの北島康介氏、元Jリーグの川渕三郎チェアマンらだが、最終的には、7月14日の告示日前に、これまで「出馬しない」と表明していた候補者や、知名度の高い候補者が出てくるかもしれない。
2014年4月、北京五輪メイン会場の国家体育場を視察する東京都の舛添要一知事(共同)
2014年4月、北京五輪メイン会場の国家体育場を視察する東京都の舛添要一知事(共同)
 それにしても、過去の東京都知事選では、「票の取れる知名度のある候補者」や「政党同士が相乗り出来る無難な候補者」、さらには過度に「国際都市を代表する存在」を意識しすぎて、人材選びが上手く行かないケースが少なくなかった。しかし、東京五輪・パラリンピックをちょうど4年後に控えたこの期に及んでは、あえて過去の常識に縛られず、世界に対して日本の良さや日本の国益を大胆にかつ堂々と主張できる候補者を探し出すことがいま、必要なのではないか。

 舛添氏のような特定の国家や組織など周囲や相手の顔色を窺うばかりの「せこい姑息なイメージ」を持つ候補者を擁立するよりも、ここはむしろ、世界でも有数の「国際都市・東京」のトップとして、どの国家に対しても同じように凛とした態度のとれる「ケチではない人材」が求められているのではないのだろうか。