虚偽を逆手に歴史イメージ回復を


 南京事件に簡単に触れると、中国戦犯の関係者は三人と思われる。

 佐々木到一旅団長(十六師団)は昭和三十年獄死、認罪を拒否したのか供述書の類は残っていないようだ。太田寿男少佐については平成二年十二月、〈「南京虐殺」の供述書入手 「十五万体処理」克明に〉と毎日新聞が一面トップで報じたが、見つかった梶谷健郎軍曹の日記により供述書の信頼性は崩壊した。

 もう一人は東口義一一等兵で秦郁彦論考「『撫順戦犯裁判』認罪書の読みかた」にでてくる。東口は難民区で六百人殺害と「上官罪行検挙書」に書いたが、佐々木旅団長を「告発」する材料だったようだと秦は推測している。

 事実とかけ離れた残虐行為がわれわれ日本人の歴史イメージを決定づけたばかりでなく、世界にまで拡散し浸透している。さらに、中国と韓国の攻勢に事態は深刻度を増す。中国との人口比を考えれば、将来の日本人の安全にとって由々しい問題と思う。この窮地を脱出するために、究明された事実を内外に発信すべしとよくいわれる。

 では、具体的にどうする。

 以前から考えていたことを記しておきたい。

 まず、メディアを通して知ったであろう日本軍の残虐イメージは、虚偽あるいは極端に誇大化されたものかもしれないと、米欧人に疑問を起こさせるわかりやすい事実の提示からはじめる。イメージ回復作戦である。その先陣となりうる打ってつけの材料がある。万人坑である。

 なぜ中国が大々的にとりあげ、日本を非難しないのか不思議に思っていた。理由があるはずである。

 まず、主だった展示館と内部の人骨を写真と動画に撮り、それらが「真っ赤なウソ」であることの説明をつけ、ネット上に乗せる。視覚に訴えるだけにわかりやすくインパクトもある。米欧人に理解するための証明も可能である。
中国では古代からの戦争、そして国共内戦でも大量殺戮・餓死が繰り返され、そのたびに人棄て穴が形成された。それを日本軍民の仕業に仕立てるなどしている。写真は大同炭鉱の万人坑記念館
中国では古代からの戦争、そして国共内戦でも大量殺戮・餓死が繰り返され、そのたびに人棄て穴が形成された。それを日本軍民の仕業に仕立てるなどしている。写真は大同炭鉱の万人坑記念館
 その上で南京問題等を加えるのがいいのではないか。「五万七千四百十八人」の殺害を目撃した魯甦証言、また「二千八百七十三人」がいつのまにか「二万八千七百三十人」に増えた上新河の殺害、むろん崇善堂の十一万余体の処理も加える。『THE RAPE OF NANKING』に掲載された女性の陰部に棒を突き刺した写真を、通州事件と関連づければ説得力があるだろうし、慰安婦連行写真も候補になる。

 これらの組み合わせ方一つで、中国の主張に疑問を持ち、虚偽を見抜く人もでるはずだ。希望的と思わぬでもないが、真面目にそう考えている。

 万人坑を事実とする日本人学者(ほとんど大虐殺派)、また炭鉱職員の抗議に対し、中国の代弁をしただけだから「抗議をするのであれば、中国側に直接やって」と言い放った本多勝一、それに口先だけで行動しない朝日新聞に対して、改めて責任を問う契機にもなるのではないか。  


たなべ・としお 昭和十三年東京生まれ。東京理科大学中退。会社勤務を経て五十一年に企業の業務改善を進める経営コンサルタントとして独立。一方で支那事変などでの日本軍をめぐる「残虐行為」記述・報道に疑問を抱き、独自に調査を始める。特に中帰連の「証言」宣伝については、該当する部隊などの生存者を一人一人尋ねては真正証言を集め、デタラメであることを実証し続けた。著書に『「朝日」に貶められた現代史―万人坑は中国の作り話だ』(全貌社)、『追跡 平頂山事件 満洲撫順虐殺事件』(図書出版社)、『検証 旧日本軍の「悪行」 歪められた歴史像を見直す』(自由社)。平成十七年からネット上に「脱・洗脳史講座」を開設し、中共による反日洗脳工作や日本での同調組織・人物の実態を究明し、逐一そのプロパガンダを検証し、虚偽であることを実証している。