後半も細かいパスワークでクロアチア守備陣の隙間を突きにかかるスペインと、シンプルだが正確でダイナミックな展開を駆使して効率よくチャンスに持ち込もうとするクロアチアの攻防が繰り広げられた。スペインのデル・ボスケ監督は60分にMFブルーノ・ソリアーノ、67分には前線に高い決定力を誇るFWアンツ・アドゥリスを投入して打開をはかる。スペインにとって勝ち越しの大きなチャンスは72分に訪れた。MFアンドレス・イニエスタの浮き球のパスに飛び出したダビド・シルバがDFのブルサリコに倒されPKを獲得したのだ。

 その数分前にはFWマルコ・ピアッツァがペナルティエリア内で倒されたが、ノーファウルで流されてしまったクロアチアとしては納得できない形のPKだったのだろう。ファウルしたブルサリコに加えて、主審にクレームを付けたキャプテンのDFダリヨ・スルナまでイエローカードを提示されてしまった。しかし、クロアチアにとって絶体絶命の危機を守護神が救う。GKダニエル・スパシッチはスペインのサポーターが占めるゴール裏からのプレッシャーを背負いながら、キッカーのセルヒオ・ラモスが蹴る瞬間に状態を右に倒し、両手でボールを弾き返したのだ。
健闘を称えあうクロアチアのラキティッチ(左)とスペインのイニエスタ=ボルドー(ロイター)
健闘を称えあうクロアチアのラキティッチ(左)と
スペインのイニエスタ=ボルドー(ロイター)
 仲間に抱擁されながら握りこぶしを作ったスバシッチ。このスーパーセーブがクロアチアの選手たちにさらなる勇気を与えたことは間違いない。終盤に差し掛かる82分にアンテ・チャチッチ監督は最初の交替カードを切り、若きテクニシャンのMFマテオ・コバチッチを投入する。対するスペインのデル・ボスケ監督もセスク・ファブレガスに代えMFチアゴ・アルカンタラを送り出すが、決勝ゴールに結び付けたのはクロアチアだった。

 87分にアドゥリスのシュートをスルナが体を投げ出すブロックでしのいだクロアチアは裏のロングカウンターからピアッツァが素早く縦につなぎ、ハーフウェーでボールを受けたカリニッチがタイミング良く左に流すと、外を追い越すペリシッチがファーストタッチから前に持ち出し、ピケのタックルにひるむことなく左足を振り抜く。すると角度のあるシュートはデ・ヘアの横を鋭く破り、ゴールに突き刺さった。

 残り時間を耐え抜いたクロアチアは三連覇を目指す欧州王者を見事に逆転しての勝利。主力のMFルカ・モドリッチやFWマリオ・マンジュキッチをベンチに置いた状況で、チャンスを得た選手たちが一丸になっての“ジャイアントキリング”となった。何よりも無事にピッチ内で90分間を全うできたことがクロアチアにとって大きいだろう。これでクロアチアは順位も逆転して1位で突破。4大会連続得点の新記録を達成したFWクリスティアーノ・ロナウドを擁するポルトガルとラウンド16で対戦する。

 一方のスペインは2位となり、ラウンド16でいきなりE組1位が確定しているイタリアとの対戦が決まった。ここで前回の決勝カードが実現するのはもったいない気もするが、間違いなくラウンド16で最も世界の注目を集める試合になりそうだ。