――ご著書での第5章で「韓国には、日本に対応するために中国を活用しようと主張する人が多い。……その成果はごく小さいものに留まるだろう」と書かれています。国際舞台における中国の外交力を軽視する主張は、韓国で受け入れられる素地はありますか。

ユー 私は、韓国がアメリカと同盟を結びながら、そのアメリカを敵視する中国とも良好な関係を続ける「二枚舌外交」をいつまでも保てるとは思えません。日本に対しても同様で、国内経済が芳しくないなか、親中か親日かを議論するより、国益ベースで日本と中国との関係を再考するべきでしょう。青息吐息の中国経済を尻目に最近では徐々にマスコミの論調も変わりつつあります。

 また、意外にも思われることかもしれませんが、そもそも中韓関係を強固にしたきっかけを提供したのは日本です。1894年に日清戦争が起こる前まで、中国と韓国の関係は最悪でした。

 朝鮮に住む金持ちの中国人による朝鮮人女性の人身売買も少なくなかった。

 朝鮮には、日本でいう夏目漱石のような近代文学家に金東仁という歴史小説家がいました。彼の有名な小説『甘藷』には、無所不為の力をもつ王書房という中国人が登場します。王は朝鮮人の娘・福女を買い取り、性の道具にして最後には殺してしまいます。これだけ残酷な小説を書いても何の責任も刑罰も科せられません。当時の朝鮮では、中国人はいわゆるアンタッチャブル、治外法権が適用されていたのです。中国人による恥辱に対して朝鮮人は何もいえず、憎しみを抱きながらひたすら耐えるしかなかった。ところが、朝鮮が日本の統治下になり、日本への批判が広まると、中国に対する憎しみがだんだん薄れてきます。いまの韓国は、「敵の敵は味方」の論理で中国にすり寄っているだけなのです。
会談前に握手を交わす韓国の朴槿恵大統領(左)と中国の習近平国家主席=3月31日、ワシントン(聯合=共同)
会談前に握手を交わす韓国の朴槿恵大統領(左)と中国の習近平国家主席=3月31日、ワシントン(聯合=共同)
――日本が中国の身代わりの盾になった、ということですね。

ユー 一方で、反中感情が払拭されずに深く刻まれてしまった国が北朝鮮です。いま世界で中国を最も嫌っている国は、北朝鮮ではないでしょうか。

 現在、中国と北朝鮮は同盟関係にありますが、信頼に値する関係性ではありません。同盟とは一種のコミットメント(公約)です。有事の際は、互いの信頼に基づいて対応するものでなくてはなりません。しかしある中国の関係筋によると、仮に北朝鮮で有事があっても、中国は本気で介入するかわからない、といいます。朝鮮戦争時に中国の人民志願軍100万が参戦した歴史はあるけれど、情勢が異なれば話は違います。

 同様の理屈で「韓国がアメリカと経済的な同盟を結んでも、危機的状況の際に信頼できるパートナーになるとは限らない」という韓国の知識人も少なくないのです。