――政治家の問題のほかに、日本と韓国の関係が改善するための打開策はあるでしょうか。

ユー ポイントとなるのが、経済的な連携や人的交流です。外交問題で日韓がどんなに激しいつばぜり合いを行なったとしても、経済的に見た関係は別です。実際の経済的な影響はそれほど大きくありません。それは、ある意味で両国が成熟した関係を築けている証拠ともいえます。

 一方、中国の場合はそうはいきません。2012年、日本政府による尖閣諸島の国有化に反対し、日系企業の工場や店舗の放火・破壊が頻発しました。中国国内で反日デモが起きたら、日本人はまともに町中を歩くことはできません。

 他方で、韓国人は日本大使館前で抗議することはあっても、さすがに日系企業に危害を加えることはありません。これは決定的な違いです。

――なるほど。先ほどおっしゃった政治家の世代交代を考えるうえではリーダーの役割も重要になります。日本と韓国の政治リーダーの特徴に決定的な違いはありますか。

韓国国会で演説する朴槿恵大統領(下)
=6月13日、ソウル(共同)
ユー 両国の国会の様子を見比べてみると、一目瞭然です。日本は国会質疑のとき、閣僚が総理大臣の横に並んで座りますが、韓国では大統領が前に出て、ほかの議員は後ろに下がって座る。これはフォロワーシップとリーダーシップのどちらを重視するかの違いです。

 日本の政治は、フォロワーシップを重んじる傾向にあります。日本のニュース番組でも、アンカーが「こんばんは」と挨拶をすると、一呼吸置いてほかの出演者が揃ってお辞儀をします。これは日本でしか見られない光景です。フォロワーシップ型の政治の欠点は、何か問題が生じたときに責任の所在が曖昧になってしまうことです。

 一方、韓国の大統領に求められるのは何といってもリーダーシップです。韓国では政治家を志す者なら誰もが大統領になりたがる。異分子をまとめあげて、一緒にやり遂げようとする協調性が欠けているのはこのためです。

 フォロワーシップ型のリーダーが多い日本から見れば、韓国は自己主張型リーダーが多い印象を受けるし、リーダーシップを重視する韓国は、なかなか決断しない日本のリーダーにやきもきしてしまう。さらにフォロワーシップ型の政治に付きまとう日本特有の「空気」が、韓国人の理解をより難しくしています。

――朴槿惠大統領はこれまでに政権批判者宅の押収捜査をしたり、『産経新聞』の前ソウル支局長の加藤達也氏を名誉毀損罪で在宅起訴するなど極端な政治姿勢を貫いています。これも韓国のリーダーシップの特徴でしょうか。

ユー それは彼女の生い立ちに由来しているのではないでしょうか。両親ともに暗殺された政治家は世界でも稀有です。疑心暗鬼になるあまり、世の中に対する見方がどこか普通ではないような気がします。