貧困問題を解決する日本の“100円コンビニ”


――ところで、最近の韓国では失業が問題になっています。貧困による高い自殺死亡率は日韓共通の課題ですが、日本は高齢者や失業者に対して手厚く社会保障を敷いています。一方、韓国が何か効果的な対策を施しているという話はあまり聞きません。

ユー そのとおりです。団塊世代が間もなく70歳に到達する世界一の長寿国・日本は、すでに高齢者中心の社会システムを構築しはじめています。一方で、韓国は高齢者が多数を占める社会システムが存在しません。少子高齢化が進み、社会保障も乏しい韓国に、課題先進国・日本の経験値が活かされるはずです。

 先日、南千住(東京都荒川区)を歩いていて、弁当から生活用品まであらゆる商品を100円で販売するコンビニエンスストアを見つけました。韓国だと最低でも300〜400円払わないと買えない商品も売っていました。店員さんに話を訊くと、お客さんの8割を高齢者が占めていて、1人暮らしの方も多いようです。1日1000円でも生きていける日本の生活防衛インフラを、韓国も見習わなくてはいけない。

 韓国に限らず、日本の“100円コンビニ”は世界の貧困問題を解決するグローバルモデルになりえますよ。

――「日本はデフレを輸出している」と非難されるかもしれませんが(笑)。

ユー ほかにも、ユニクロを代表とするファストファッション専門店や、リーズナブルな家具用品を扱うニトリが日本の各地にあります。衣食住において高齢者への対応策がこれほど万全な国はありません。全世界が高齢社会になっても生き残れる国は日本でしょう。

 ユニクロといえば、銀座店でアルバイトリーダーが中国人に接客の仕方を丁寧に説明している様子を見かけました。韓国ではまだこうした姿は見かけません。日本人の優しさや思いやりは、労働力不足が懸念される将来、外国人労働者を受け入れざるをえなくなった際にも大きな武器になると思います。

 日本と韓国の理想的な関係の1つのあり方として、ある問題についてどちらかの国が先に経験していれば、互いに対処法を転用できる点が挙げられます。日本がアジアで最初に対応し西欧諸国に適応して先進国になった経験があったからこそ、韓国はそのノウハウを活用して経済成長を遂げることができた。その意味でも、韓国が超高齢化社会を解決するには、日本を参考にすべきなのです。

――これから世界で起こりうる社会問題を解決する万能なシステムを有し、世界に発信できる力こそ、真のソフトパワーなのかもしれません。日本人はその責務があることを自覚しなくては。

ユー 難題を前に手をこまねいていても何も解決しません。双方が悪口を言い合うだけでは歴史問題が解決に向かわないのと同じで、お互いに学ぶ姿勢が重要です。
――2018年には韓国・平昌で冬季オリンピックが、20年には東京で夏季オリンピックが開催されます。アジアでの開催が続くオリンピックを機に、日韓の連携・協力は実現するでしょうか。

ユー オリンピックは地球最大のソフトパワーの祭典です。政治上の建前で批判される可能性は否めませんが、日韓で協力できる点はたくさんあります。先に冬季五輪を開催する韓国が意固地にならず、日本に協力を求めれば、けっして実現不可能な話ではないでしょう。

 ソフト面でのコンテンツを日韓の橋渡しにするという意味では、両国からメンバーを選出してAKB48のようなアイドルグループを結成するのも1つの手です。互いの国を行き来してライブを行なえば、ファンも現地に足を運びます。両国のリスペクトできる部分も肌感覚で伝わってくるはずです。このようにして、次の世代を担う若い世代から感情的な憎しみ合いが徐々に薄れるといいですね。

 過去ではなく現在から、外側からではなく内側から互いのよい面を探り合うことで、過去の歴史問題を解決する糸口がおのずと見つかるのではないでしょうか。いまや、両国の政治家がリスクを背負ってまで取り組むだけのテーマはじつはほとんど残っていない。最後のレガシーが慰安婦問題です。もし歴史問題が解決すれば、日本と韓国は建前なしのトランスペアレント(透明)な関係になれるでしょう。