若い才能の国外流出を引き起こしたネポティズモ
30万人以上の若者がイタリアを離れた年も

 
 イタリアでは若者の就職難が長年にわたって大きな社会問題となっている。欧州委員会内で様々な統計を担当する部局「ユーロスタット」が2012年秋に発表したデータでは、若年層(15歳から24歳まで)の失業率でイタリアが約35パーセントに達していたことが判明した。EU加盟国の中で、若年層の失業率がイタリアより高かったのはギリシャとスペインのみで、ドイツにいたっては10パーセントを下回る結果となった。若者が仕事を見つけられない理由は各国によって異なるが、イタリアの場合は景気後退に加えて、ネポティズモが壁となって、高等教育を受けた若者でもコネなしでは希望する仕事に就くことが非常に困難な社会事情がある。英ガーディアン紙は2011年7月、母国に見切りをつけて、職を求めて国外に出たイタリアの若年成人が30万人程度と推定されると報じている。
 
 ローマで建築士として働くクリスティアーノ・リッパさんも、先日の市長選挙でラッジ氏に投票したひとりだ。
イタリアDFダニエル・デ・ロッシの入れ墨
イタリアMFダニエル・デ・ロッシの入れ墨
 「数年の政治経験しかない人物が、ローマという町をうまくコントロールできるかは分かりません。ただ、汚職や縁故主義に対してはっきりと戦う姿勢を見せてくれたことに、有権者はわずかな希望を抱いたのだと思います。汚職や縁故主義はイタリア社会の隅々にまで蔓延しているので」
 
 2008年3月にイタリア最高裁はネポティズモを違法とする判決を下したが、現実世界では「ラッコマンダツィオーネ」と呼ばれる友人や知人の紹介・推薦が無ければ、希望する職に就くことは極めて難しい。フットボールの方がよっぽどフェアではないかという問いに、リッパさんは「そう思います」と答えた。
 
 フットボールの世界は単純だ。才能のある選手はプロの道に進み、さらに才能の高い選手は活躍次第でスター選手に変わってゆく。イタリアを含めた多くのヨーロッパリーグは、ネポティズモが成功を約束してくれるほど甘くはない。カダフィ大佐の息子で、リビア代表でフォワードとしてプレーしたアル・サーディは2003年にセリエAに「挑戦」し、親の威光や財力を背景に2007年までペルージャやサンプドリアといったクラブに所属していた。しかし、4年間で出場した試合はたったの2試合で、大恥をかいてリビアに戻っている。
 
 ネポティズモの存在を一瞬でも忘れることのできる代表の存在は、若いイタリア人サポーターにとっては大きなものだ。因縁の対決に一喜一憂しながら、多くのサポーターがアズーリに声援を送り続ける。