辞任でうやむや?


 本誌ウェブWedgeInfinityで「子宮頸がんワクチン薬害研究班に捏造行為が発覚 利用される科学報道(後篇)」が公開された翌6月18日、池田教授の地元、長野県飯田市では、信州大学第三内科の同窓会が行われた。冒頭の挨拶で池田教授は、なぜか「お叱りを受けた」という言葉を繰り返しながら、自らの去就について述べた。

 その内容は、ウェブ記事公開の2週間以上も前の5月下旬、「同窓会員の皆さまへ」というタイトルで医局員宛てに送られたメールとほぼ同じで、近く第三内科の主任教授と医学部長を同時辞任するつもりであるというものだった。

 池田教授は2度の挑戦で医学部長となり、学長選に立候補して敗れ、副学長となっている。メールが送られてきた5月下旬、あれほどまでに執着して就任した医学部長を任期前に辞めると言いだした池田教授に一体何があったのかと医局内は騒然としていたという。

 この問題が明るみに出る前から辞任の意を表明していたという池田教授。信州大学には、ガバナンスの甘さが深刻な問題を生んでいる現状を自覚し、池田教授が辞任してしまう前にしっかりとこの問題を追及し、信頼を取り戻してほしい。大学の信頼だけでなく、アカデミア全体の信頼のためにも、だ。

 池田教授は、医学部長で副学長であるだけでなく、数千万円の税金を使いながら子宮頸がんワクチン副反応問題という、公衆衛生行政の要である“定期接種ワクチン”の研究を行っている厚生労働省指定の研究班の班長である。
厚生労働省
厚生労働省
 子宮頚がんで失われる日本人女性の命は年間約3000人。命に責任を持つ仕事をする医師の1人として、HLA型(関連記事)もマウスも「知らなかった」「勘違いだった」「予備段階の実験だった」では済まされない。

 また、「論文に出したわけではない」「メディアが報じただけ」という弁明も通用しない。成果発表会より前に、論文をはるかに上回る社会的インパクトのあるTBSの取材をわざわざ受けたのは池田教授自身だ。