実は成果発表会より前の2月24日、メディアを呼んでの公開に向け、池田班・牛田班の2班は非公開ですり合わせの合同班会議を行っている。この会議でも、脳障害患者の定義についての疑義が呈されていた。牛田班が「身体表現性障害については教科書にも書いてあることですが、どうやって先生方のいう脳症と区別するのですか?」と質問すると、池田班のある教授は「私たちも身体表現性障害というものがあるのをよく知っている。身体表現性障害と脳障害の区別は簡単だ。うちでは若い医者でもできる」と答えた。牛田班が「やり方があるのならきちんと文書化して共有してもらえるとありがたい」と詰め寄るとその教授は言葉に詰まり、「先生のところでしかできないわけですね」と釘を刺される場面もあったという。

 筆者が、池田修一教授に疾患定義を問い合わせると、「私達が脳障害とした診断根拠等は現在論文にまとめている最中であります」との回答だった。論文にまとめているから答えられないと言うのであれば、なぜメディアがいる成果発表会で公表したのだろうか。

 厚生労働省や専門家に対する池田教授は、「研究は途中段階であり確たることは言えない」と慎重な物言いをしていると聞く。しかし、メディアに対する池田教授は、「脳障害」患者の定義も答えられないのに、統計的有意差のないHLAデータやコメントを積極的に提供しているふしがある。

違和感のあるメディアへの対応姿勢


 今回もっとも詳しく報じたTBSのNEWS23は、東京・霞が関で成果発表会があった3月16日、当日夜の番組であるにもかかわらず、池田教授のロングインタビューを流している。取材場所も長野の研究室だろう。
 翌日の新聞でもっとも詳しく伝えた毎日新聞の記事は、科学環境部の斎藤広子記者の筆によるもので、昨年7月にHLA型について最初に報じたのも斎藤記者。つまり、同じ記者が、保有率と遺伝子頻度を混同した記事を2度も書いている。もし池田教授が「途中段階で確たることは言えない」と本当に考えているのなら、7月から現在までの間に斎藤記者への情報提供を修正し、自身のプレゼンも誤解を生まないよう改めるだろう。

 筆者からの質問に対し池田教授は、「TBS NEWS23については以前からこの問題をずっと取材しており、今回も合同班会議の後にその発表内容に関連した取材を鹿児島大学を含めて広く取材したと聞いております。また毎日新聞の斉藤記者には16日の発表した後にあの場で質問を受けましたが、事前に情報提供は行っておりません」とした。