ヨーロッパで疎外されたイスラム教徒がテロに走ることも


 社会問題的な側面もある。中東には石油や天然ガスなどが豊富にあるが、そこから得られる利益の多くは欧米企業へ流れていた。そこで貧しいイスラム教徒は経済的豊かさを求めてヨーロッパなどへ移民したが、ヨーロッパのキリスト教社会は彼らをなかなか受け入れない。彼らは疎外感に苛なまれ、過激思想に染まっていくといった事例も多い。

 しかし、テロに走るようなイスラム教徒はごく一部の人間だけ、ということを忘れてはならない。世界16億人以上のイスラム教徒のうち、圧倒的多数はテロ行為を強く非難している。また、イスラム教徒のなかからもテロによる犠牲者が多数出ている。「イスラム教徒=テロリスト」という誤った考えは絶対にしてはならない。

治安のよさは世界屈指の日本でも、テロが起こる可能性が高まっている?

⇒伊勢志摩サミットや東京オリンピックが危険

 欧米や中東で起こるテロ事件のニュースを見聞きしていても、どこか現実感がなく、遠い世界のこととしか思えない人もいるだろう。2013年1月のアルジェリア人質事件、15年3月のチュニジア銃乱射事件などで日本人がテロの犠牲になったこともあるが、いずれも海外での事件である。日本にいるぶんには安全だと信じている人が多いに違いない。

 しかし、テロはもはや対岸の火事ではない。いつ何時、日本国内でテロが起こったとしても不思議はないのだ。

 実際、日本はISの標的となっている。15年1月に起こった日本人ジャーナリスト殺害事件の際、ISの兵士が「日本はアメリカとともに“十字軍”に参加した」と非難。人質殺害の場面を撮影した動画では、「今後、どこにいようと日本人を殺す」と宣言した。さらにインターネット上のIS機関紙「ダービック」でも、繰り返し「日本をターゲットにする」と言明している。

 日本では今後しばらく国際的なビッグイベントが続く。2016年5月には伊勢志摩サミットが開催され、2020年にはいよいよ東京オリンピックがある。特に懸念されるのは後者だ。
 オリンピックムードが高まるにつれて、「トウキョウ・ジャパン」への注目が高まっているが、テロ組織にとっては開催期間中が最高のアピールタイムになる。

 このタイミングでテロを行ない、世界をあっといわせようと考えている輩がいたとしても不思議はない。もしかすると、すでに日本に潜入している可能性もあるのだ。

 尊い人命を守るため、また国際的な信用を失わないためにも、日本政府には万全のテロ対策が求められている。