世界では市場リスクが渦巻いている。中でも、チャイナリスクは膨張の一途である。

 中国の銀行不良債権は今年3月時点で、国内総生産(GDP)比で2割を超えると国際通貨基金(IMF)はみている。日本の場合、1990年代のバブル崩壊後の不良債権比率はピーク時で12%程度だった。習近平政権は国有商業銀行を通じた融資を急増させて、ゾンビ企業を生き長らえさせている。不良債権処理は先延ばしされ、さらに巨大化する。

衆院本会議で内閣不信任決議案の投票後、自民党の稲田朋美政調会長(右手前)と話す安倍晋三首相(左)ら=5月31日午後、国会(斎藤良雄撮影)
衆院本会議で内閣不信任決議案の投票後、自民党の稲田朋美政調会長(右手前)と話す安倍晋三首相(左)ら=5月31日午後、国会(斎藤良雄撮影)
 チャイナリスクが再浮上すれば、さらに円高が加速しかねない。日本国債は世界では、ドイツ、スイスの国債と並んで最も安全な金融資産としてみられているからだ。

 円高に歯止めをかけるための、残る機動的かつ弾力的な手段はマイナス金利政策の強化しかない。

 日銀は新規に金融機関が日銀の当座預金口座で積み増す資金について0・1%の金利を徴収しているが、その対象を広げると同時に、マイナス金利幅をさらに拡大する余地がある。すると国債利回りは即座に下がり、米国との実質金利差を広げられるはずだが、日銀は慎重だ。

 銀行界トップの三菱東京UFJ銀行が強く反対しているからだ。三菱UFJは新規発行国債の入札特権を財務省に返上し、マイナス金利国債の入札には応じるとはかぎらないとの姿勢をあらわにした。

 このまま、日銀が手をこまねいていると、円高が進行する結果、デフレ不況に舞い戻りかねない。株価も低迷し、アベノミクスへの逆風が強まるだろう。チャイナリスクが爆発してからでは、遅すぎる。日銀は毅然(きぜん)としてマイナス金利政策を展開すべきではないか。