河治良幸(スポーツジャーナリスト)
【準決勝】ポルトガル2-0ウェールズ
勝負を決めたのはポルトガルが誇るキャプテンにしてエースの一撃だった。後半5分、左サイドで得たCKをジョアン・マリオがちょこんと手前に叩くと、ラファエル・ゲレイロが左足で浮き球のボールをゴール前に送る。ニアとセンターで3人の選手が相手ディフェンスを引きずる間に、その手前に構えていたクリスティアーノ・ロナウドが変則的な動きで落下地点に入ると自慢のハイジャンプから豪快なヘッドでゴールネットに突き刺した。あまりにタイミングが良く打点の高いフィニッシュに競りかける相手はいなかった。
フランスのミシェル・プラティニに並ぶEURO通算9得点目。ゴールを決めた勢いで右のコーナーフラッグ方面に向かったロナウドが地面に寝転がると、アップをしていた控え選手、さらにフィールドの味方選手たちがキャプテンを下敷きにした。その輪が解 かれるとお決まりのジャンプから両足着地で下方向にガッツポーズ。メインから見て左ゴール裏を埋めるポルトガルのサポーターはゴールアナウンスと共に、エースの名前を連呼した。

前半のボール支配率こそウェールズが52%でわずかに上回ったものの、ポルトガルはウェールズに引かれた状態から左右にボールを散らしてクロスをクリスティアーノ・ロナウドに合わせる形からゴールを狙う。一方のウェールズはボールを持ったら素早く縦に持ち出し、前線のハル・ロブソン=カヌが相手ディフェンスを背負う手前のスペースをベイルやキングが使って速攻に持ち込む。