ポルトガルにとって前半で最も大きなチャンスは16分にクリスティアーノ・ロナウドのポストプレーからジョアン・マリオが危険なグラウンダーのミドルシュートを放ったが、惜しくもゴール左に外れた。ウェールズは前半の23分には中盤のボール奪取を起点にベイルが右から仕掛け、カットインから左足で強烈なシュートを放つもGKルイ・パトリシオの正面に飛んだ。しかし、お互いにゴール前の守備が堅く、いい形でシュートチャンスを作れない状況が続いていただけに、セットプレーからの先制ゴールは大きかった。

 そのポルトガルに追加点がもたらされるのは3分後。今度はエースの絶妙なアシストか ら生まれた。クリスティアーノ・ロナウドが左で起点を作り中央に流れると、ラファエル・ゲレイロのクロスをナニとDFアシュリー・ウィリアムズが競って手前にこぼれた ボールを再びクリスティアーノ・ロナウドが拾う。そこから右足でシュート性のボール をゴール前に蹴り入れると、ナニが右足をいっぱいに伸ばして触り、ボールの軌道を変 えたのだ。これには幾多の好セーブでウェールズを救ってきたGKウェイン・ヘネシー もどうすることもできなかった。

 唐突に訪れた2点のビハインドを何とか挽回しようとするウェールズ。クリス・コール マン監督は58分、中盤で奮闘していたMFジョー・リドリーに代えて前線に屈強なFWサム・ボークスを投入。その5分後にロブソン・カヌを下げて機動力の高いFWサイモン・ チャーチ、66分には3バックの一角を担っていたDFジェームズ・コリンズを下げ4バックに変更。攻撃的MFジョナサン・ウィリアムズを入れて攻勢を強めた。

 しかし、フェルナンド・サントス監督に堅守の意識を植え付けられたポルトガルの選手たちはしっかりとブロックを形成しながら、広いスペースを生かしたカウンターでクリスティアーノ・ロナウドやナニを走らせる。85分には一気に裏へ抜け出したクリスティアーノ・ロナウドがGKヘネシーを右にかわしながら角度の無いところからシュートを放ったが、サイドネットを揺らした。

決勝進出を決め歓喜のロナウド(AP)
決勝進出を決め歓喜のロナウド(AP)
 ウェールズは攻撃が手詰まりになる中で結局はエースのベイルに頼らざるをえない状況 になるが、アンカーで抜群の強さを見せるダニーロやペペに代わり奮闘するフォンテに 行く手を阻まれ、ペナルティエリア内までボールを持ち込むことができない。結局、81分に遠目からゴールを襲い、惜しくもGKルイ・パトリシオに弾かれた無回転のミド ルシュートが最大のチャンスだった。後半アディショナルタイムには終盤に出場したポ ルトガルのFWリカルド・クアレスマが得意のドリブルでファウルを誘う。クリスティア ーノ・ロナウドの直接FKが壁に当たったが、同時に勝利が確定した瞬間となった。

 グループリーグは3引き分けに終わり3位で決勝トーナメントに進出。その後もクロアチアを相手に延長戦で何とか勝利し、ポーランドとは1-1の同点で、PK戦を制して準決勝に駒を進めてきた。この日もウェールズに対して後半の立ち上がりまで優勢に試合を進めていたわけではなかったが、エースの一撃で流れをつかみ終わってみれば2-0の快勝となった。大会の中で一体感が強まってきたチームはギリシャに敗れ準優勝に終わった2004年の“リベンジ”を果たすことができるのか。7月11日、開催国フランスとブラジルW杯王者ドイツの勝者とサン・ドニで激突する。