「琉球侵略」にすり替えられた国連勧告


 「沖縄県知事が米軍基地の撤去を要求しようが外交防衛権は政府の専権事項であるから、政府は無視して粛々と安全保障政策を進めれば良い」という声を聞くことがある。確かにその言葉は正しいけれども、その論理を打ち砕く工作も進められている。それは国連の自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会から2008年、2010年、2014年に2回、計4回日本政府に「沖縄の人々を公式に先住民族と認めて、文化、言語と土地、資源の権利を保護するべきとの勧告が提出されていることである。日本政府はこの勧告を認めていないが、国連基準では沖縄県民は1879年に日本に侵略され滅ぼされた先住民族なのである。去年9月に沖縄県の翁長知事が国連人権理事会で「(日米両政府により)沖縄の自己決定権がないがしろにされている」と訴えたが、国連からすると琉球民族の酋長が米軍基地の押し付けという差別の解消を訴えにやってきたと認識しているはずである。これらの先住民族勧告は国連NGOの「反差別国際運動(部落解放同盟が母体)」と「市民外交センター」の働きかけの結果、2008年から4回も出されて、実績を積み上げてきた。しかもこの8年間、県議会や各市議会で議論されたことも意見書が出されたこともないし、ほとんどの日本国民も当事者である沖縄県民も知らされずに進められていたのである。なんとも巧みな工作である。

 多くの日本国民が自覚の無い間に尖閣諸島の実効支配を失っているだけではなく、沖縄県民が日本人で無くなっているのである。これは尖閣諸島に対する政府の失策以上に大きな問題である。なぜなら、この工作の本質は日本政府による「沖縄防衛」を「琉球侵略」にすり替えることだからだ。この大嘘は多くの日本人には理解困難なようであるが、かれらの言い分は次のようになる。

「沖縄の人々は日本に侵略され滅ぼされた琉球王国の子孫であり先住民族である。1879年以降、明治政府により同化政策、皇民化政策により日本人であるかのように洗脳をされてしまった。第二次大戦の時にはその洗脳が成功し、勇敢に戦った人もいたが天皇に利用された犠牲者である。現在も同化政策により母国語である琉球語を日常で話すことができなくなってしまっている。琉球民族の誇りでありアイデンティティーである言語を奪われ差別を受けている。2008年の自由権規約による勧告にあるように、学校でも琉球語の教育のカリキュラムを取り入れるべきであり、米軍基地の押し付け差別の解消のため、2014年の自由権規約委員会の勧告にあるように土地と資源の権利を保護するように新たな法律をつくるべきである」

 笑い話のようだが、これが国連基準として定着している沖縄県民の認識である。翁長知事は、在沖海兵隊の撤退を要求し始めたが、日本政府も米国政府もその要求を受け入れないことは百も承知であるはずである。その要求を拒否されたことをもって、琉球民族は日米両政府に差別されていると再び国連に訴えることが目的なのである。この訴えが万一国際社会に浸透するようなことがあれば、日本の沖縄防衛が琉球侵略とのレッテルが貼られてしまうのである。