政治参加のルートは多ければ多いほどいい


上野 もういっぺん、さっきの間接民主主義と直接民主主義の話に行きましょう。この2つを二項対立で考えると、議員を選挙で選ぶのが間接民主主義、つまりエリート政治です。他方、直接民主主義にきわめて近いのが首長選挙で、住民投票もこちらの仲間ですが、これはいいほうにも悪いほうにも働く。

 たとえば千葉県では、堂本暁子知事と議会多数派の自民党がことごとく対立して、堂本さんのやりたいことを頑として通さなかった。これは間接民主主義が機能しなかった例だと言えるでしょう。

おおさか維新の会の法律政策顧問を務める橋下徹氏
おおさか維新の会の法律政策顧問を務める橋下徹氏
 その一方で首長は直接民主主義で選ばれるから、たまに妙な風が吹いて、大阪の橋下さんのような人を権力の座に押し上げちゃう。彼は大阪のおばちゃんたちに人気があるんです。この調子で、「まあ、いっぺん総理やらせたったらええやないか」みたいな感じになったら大変だと思っていたら、最近になって「風俗活用」発言で失速してほっとしています。つまり首長選挙のように直接民主主義と呼ばれるものには、衆愚政治が行われるかもしれないというリスクが伴います。

 さっき代議制民主主義は好きになれないと言いましたが、じゃあ、直接民主主義にもろ手を挙げて賛成と言うかというと、ここもなかなかつらい。

國分 「直接民主主義」という言葉をどう理解するにせよ、現在のような「人」を選ぶ選挙だけだと、社会で問題になっていることについて自分で考える機会がなかなか与えられないということが問題だと思います。

 よく「住民投票はポピュリズムになる」という批判があるけどまったく違う。それとは逆で、自分たちで決めなきゃいけなくなるから、勉強会をやったり、シンポジウムに参加したりして、知識が高まっていくんです。むしろ、ふだんの選挙ではそういうことをやらないから、ポピュリズムになってしまう。今の制度は、有権者が政治について考えることを促進するようなかたちになっていない。とくに選挙運動の期間が短いことは致命的ですよ。