テロなどの事件があると、そこに警察官、軍人などは集中的に派遣される。それ以外の場所は警備が手薄になる可能性がある。ちょっとしたスリくらいでは警察も動いてくれないかもしれない。

 テロ対策もかなりしてあると言われるが、リオ郊外やリオ以外の都市となると、警戒体制のレベルが大きく落ちる。世界のメディアが集まっている国際的なイベントだ。リオでなくても隣町でもテロが起きれば、世界的なビッグニュースになる。テロの目的が恐怖を世界に伝えるということであれば、十分にありうる事態だ。

 治安の問題で気にかかるのは、警察等の士気の問題だ。警察を含めて公務員の給料の遅配があり、警察官や消防士が抗議のデモを行っている。リオの国際空港で「地獄へようこそ。給料が支払われていないので、リオに来る人は安全ではない」などと書いた横断幕を掲げた警察官などの抗議行動は広く世界に発信された。モラエス法相は7月5日、「政府は治安確保の費用として29億レアル(約916億円)の支援を決めた。警察官への給料支払いなどに使われ、問題は解消する」としているが、これも本当にすべての警察官などに直ぐに行き渡るかどうか、わからない。

リオ市内では、給料遅配などに抗議してデモをする警察官ら。リオ五輪が迫り、治安の悪化が懸念されているが、大丈夫か=6月27日(AP)
リオ市内では、給料遅配などに抗議してデモをする警察官ら=6月27日(AP)
 Business Newslineは7月26日に衝撃的なニュースを伝えている。それによると、「今月24日にリオデジャネイロ・オリンピックに参加するため現地入りを果たしたニュージーランド選手団の一人が警官によって誘拐され、ATMから大量の現金を引き出すことで解放された事件に関連して、警官が今度はこの選手の宿泊先を強襲していたことが26日、選手が投稿したTwitterの記事により明らかとなった」というのだ。警察官が信じられなくなったら、大変な事態になる。会場近くの警備の厚いところ以外は出歩かないことが大切だ。

3. 交通
 大会期間中に公共交通機関がどれだけしっかりと動くかということも重要なポイントだ。準備が遅れて、リオ州政府が五輪の観客輸送の大動脈となる地下鉄4号線の開通は、五輪開幕4日前の8月1日に大幅にずれこむことになっている。97億レアル(約2900億円)の予算をかけて建設したものだが、これだと実際に戦力なるかどうか安心はできない。開通の直後は想定できなかったことも起こりうるが、いきなり多くの乗客を乗せた状態がやってくると問題が起きる可能性はある。もしものことがあれば、道路は大変な渋滞となって、時間通りにゲームができないということもありうる。

 また、オリンピックでは試合が夜中までずれ込むことは想定されている。公共交通機関が使えない場合に、どのような移動手段があるのか。それは安心できるものかどうかも、問題になる。タクシー、自家用車やバスでの移動が現実的だろうが、道路が渋滞となる可能性もある。ブラジルでは渋滞時には車のエンストや燃料切れもよくある。そうした車がさらに渋滞を引き起こすということも想定される。

4.とにかく無事に終わることが成功
 今回のオリンピックでは明らかに安全面と環境面での対応が間に合わなかった。急激な経済の冷え込み、政治の停滞などが重なった。リオ・デ・ジャネイロは本来なら、五輪にふさわしい都市になるはずだったが、かなりの問題を残すことになりそうだ。素晴らしく綺麗な町なので、うまくいけば大成功になるはずだ。都市の美しさからすれば、リオは五輪開催都市にふさわしい町。しかし、今回は不評と苦情の山になる可能性がある。
 
 ここまできたら、オリンピックが開催はされることは間違いない。問題はトラブルの規模がどのくらいか、ということになる。少々の事件は大目にみなければならないだろう。選手やVIPが襲われたり、怪我をしたりすると大きな問題となる。VIPもたくさんいるので、万全をきすことは不可能だ。

 問題は出るだろうが、少々の傷で終われば、大成功という感じだろう。その経験を東京オリンピックで活かすことが大切だ。

(2016年7月27日 Yahoo!個人「児玉克哉の希望ステラテジー」より転載)