共同通信によると、6月9日未明の接続水域侵入に外務次官が対応した際「もし領海に侵入したら、必要な行動を取る」と中国大使を脅したらしい。事実なら、嘆かわしい。なぜなら、その6日後の15日、実際に領海侵犯されたにもかかわらず、日本政府は海上警備行動を発令しなかったからである。政府は一昨年の5月14日「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」閣議決定した。そこでは「海上における警備行動を発令し、自衛隊の部隊により行うことを基本とする」と明記された。
臨時閣議に臨む(左から)石原経済再生相、安倍首相、麻生財務相
臨時閣議に臨む(左から)石原経済再生相、安倍首相、麻生財務相
 併せて「特に緊急な判断を必要とし、かつ、国務大臣全員が参集しての速やかな臨時閣議の開催が困難であるときは、内閣総理大臣の主宰により、電話等により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行う。この場合、連絡を取ることができなかった国務大臣に対しては、事後速やかに連絡を行う」とも明記された。要は、電話閣議で自衛隊を出動させるとの閣議決定である。だが、海上警備行動は発令されなかった。それどころか、中国に対する「抗議」すら控え「懸念」の表明に留めた。いったい何のための閣議決定だったのか。大きな疑問を禁じえない。安倍内閣にして、この有り様。なんともやりきれない。正直、私は落胆した。
 

日本版「海兵隊」を

 政府が海警行動すら控える以上、もはや何を書いても空しいが、さらなる問題が控えている。海警行動が発令されても、法律上、正当防衛か緊急避難に該当する場合(または重大凶悪犯罪の現行犯や逮捕した被疑者が逃亡する場合)を除いて「人に危害を与えてはならない」。それ以前の問題として「必要であると認める相当な理由のある場合において」「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において」しか「武器を使用することができ」ない。こんな縛りでは現場が困る。

 そこで「船舶の進行の停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜずなお」「抵抗し、又は逃亡しようとする場合」「進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる」よう法改正された。だが、それも中国軍艦には適用できない。なぜなら「軍艦(略)を除く」と明記されたからである。いわゆる警察作用でしかない海警行動が法的根拠であるかぎり、撃沈はおろか危害射撃も許されない。

 中国による一連の行動は、国連憲章にも、国連海洋法条約にも、日中共同声明にも違反する。国際法上も許されない。だが、仮に日本がそう「抗議」したところで、中国人は聞く耳をもたない。「法」や「言葉」ではなく、「力」だけが中国の行動を抑制できる。結果的に、日本は「言うだけ番長」のごとき対応に終始した(6月20日時点)。領海侵犯されたら、遅滞なく海警行動を発令する。実効的な対処を可能とすべく法律を早急に改正する。諸悪の根源たる憲法九条の改正も進める。陸自の「水陸機甲団」を中核とした日本版「海兵隊」を創設する。いますぐ、そうした作業に着手すべきだ。そうでなければ、すべてが無に帰す。このままなら、中国の高笑いが続く。