碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)
魅力的なポケモンGO。だからこそ、功罪両面がある。みんなでポケモンGOを育てよう。
連日、ポケモンGOのニュースが報道されています。子どもから大人まで、もうすでに夢中になっている人々がいます。楽しいだけではなく、良い運動になって体重が減ったとか、いつも以上に人と会話したとか、引きこもりや自閉症の改善に役立つという話も出ています(ポケモンGO 米では「自閉症の息子がハイタッチ」産経新聞 7月23日)。 人とのコミュニケーションが取りにくい子の改善方法として、その子も関心を持つ「物」を介在させる方法は、以前からありました。ポケモンGOは、問題改善の大きな可能性を持っているのでしょう。

ゲームはなぜ面白いのか・ポケモンGOの魅力
そもそもゲームはなぜ面白いのか。心理学的には、主に3つのことが考えられます。
1.いつもチャレンジフルで、自分が成長できる。同じゲームでも、初心者は簡単な課題、上級者は難しい課題に取り組んでいます。いつも丁度良い難しさ、チャレンジフルな目標が目の前にやってきて、クリアするごとに自分が成長できます。
2.失敗しても恥をかかない。私たちは失敗を恐れます。失敗して恥をかくことを恐れて、行動できないこともあります。失敗に懲りて、二度としないこともあるでしょう。でも、ゲームなら大丈夫です。
3.ファンタジーがある。ゲームには、魅力的なストーリーがあります。かわいいキャラクターなども出てきます。ゲームが進むと、ラスボスをやっつけたり、お姫様が救えます。目の前の小さな目標とともに、この先の大きな目標があります。
だから、ゲームは面白いのです。さらに、オンラインゲームは、ユーザーがゲームをし続けてくれないと企業は儲かりませんから、プレイを継続させるためのあの手この手の工夫があるでしょう。
ゲームは、その進化とともに、マニアックにもなっていきました。そうなると、コアなユーザーにはよくても、初心者には敷居が高くなってしまいます。ところがポケモンGOは、子どもから高齢者まで、誰でも簡単に始められそうに思えます。囲碁やピアノよりも、ずっと簡単に始められるでしょう。そして、簡単にはクリアできない奥深さがあります。