予防・慎重の原則と医師の倫理

 医薬品は人の生命・生活を左右する。医薬品による健康被害をゼロにすることはできないが、最小限にするための適正な手続きは必須であり、諸国において法令により厳密に定められている。健康被害が発生した後に、完全に回復させる治療法が無い限りは予防するという大原則だ。

 もう一つは「疑わしきは使用を認めない」という慎重の原則。HPVワクチン接種後症候群に関して言えば、地球上の諸国において同様の症状を呈する女子が高頻度に発生しており社会問題化している。HPVワクチンが原因か否かの判定にはまだまだ年余にわたる研究が必要であることは言うまでもない。

 一部の医師はワクチンの安全性は「確立」されていると信じて、厚労省は積極的な推奨を再開すべしと主張しているが、安全性の根拠は何であろうか。事実上は、ワクチン製造会社がほとんどの資金を提供した臨床治験だけなのだ。莫大な資金提供を受けた医師であっても、不都合な結果がでないように研究をデザインしたり、結果を可能な限り捻じ曲げないだろうと、一般市民の大多数は信じないのではないだろうか。製薬会社による医学研究者の事実上の買収による結果ねつ造事件は数多い。だから、HPVワクチンもそうに「違いない」とまでは言わないのであるが。

画像はイメージです
画像はイメージです
 医師の倫理についても触れないわけにはいかない。様々な理由や動機(製薬会社からお金をもらっているとか、そうではなくて、論文を読んだから安全性と有効性を信じたからでもよい)により、医師がHPVワクチンの推進再開を強く提唱するだけならまだしも理解できる。しかしながら、一部の医師は被害者会の方々を医師倫理に違反する疑いのある言葉で非難している。

 例えば、私の元友人である上昌広医師。彼は特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長で、2010年に私がCFS/ME患者についての支援をお願いしたとき、直ちに患者会代表と面会し、絶大な支援をしてくださった。HPVワクチン接種後症候群とCFS/MEの症状が類似しており、社会的状況もほとんど同一なのに、どうしたものか上氏はHPVワクチン接種後症候群については最初からその重大性を軽視している。HPVワクチン推進言動では非常によく知られているが、なんと上氏は「16歳の高校生を利用した『社会運動』、そろそろやめたらどうだろう」とツイッターで言明した。

 患者と家族の怒りを買ったことは言うまでもない。同じく元友人の医師、久住英二氏(医療法人社団鉄医会理事長)も被害者会の活動を「醜悪」と表現して、轟轟たる非難を浴びた。両人とも患者と被害者団体による批判など馬耳東風で今日に至るまで、相変わらず「患者の診療をすることなく」、「医学研究の結果に対しては、独自の研究で反証を試みることもなく」、ほとんどネット上だけで同じ主張を繰り返している。

 正直のところ、元友人の実名をあげて批判することは心苦しいのであるが、彼らは実名をさらして言論を展開しているからには、覚悟の上なのであろう。匿名でHPV推進を声高に提唱し、池田教授や被害者団体の誹謗中傷を継続して実行している一部の医師については言及するに値しないので直接には触れないが、彼・彼女らも元友人の両人と同様に患者を実際に診療しての「根拠」を何一つ示していない。