問題解決のために最も重要なこと


 HPVワクチン接種後症候群に関しては、まだまだ不明の点が数多いことでは推進派も反対・慎重派も一致していると思える。両派が対立することは、必要なことだった考えるが、私は両派の人々に問題解決のための協業を模索しようと呼びかける(この提唱は、ワクチン製造会社のエージェントとして活動している医師は対象外)。

 協業実現の必要条件の一つは、推進派が自らの決定的な欠陥を自覚することだ。患者をみることなくネット空間や非医学雑誌で声高に主張しても、医学専門誌や学会において有力な証拠を提示できない限りは、無力であり続けることを。反対・慎重派の医師達はHPVワクチンについての医学論文を読んだ上で、現実の患者を診療して危険性がわかったので警鐘を鳴らしている。これに対して、推進派は外国の他人が執筆した論文だけが主張の根拠。この決定的な非対称性が解消しない限りは、両派の協業などできないであろう。

 推進派の医師達は被害者会と真摯な対話を始めるべきだ。これまでのような言動を無反省に継続すると、いつの日か医療界での信用を決定的に失うことになろう。

 問題解決のための協業における、具体的な諸目標の中で最も重要と考えられることを一つだけ挙げる。

 本人・家族のアレルギー体質、白血球型(HLA)、人種とか様々なファクターと、HPVワクチン接種後症候群の発病頻度との関連性を明らかにすること。そのためには、338万人の既接種女子について、50万人くらいは調査する必要があろう。既に健康を害している被害者とその家族の全員については特に詳細な調査が必要であろう。なお、調査のための資金は、国庫支出金プラス製薬会社の拠出金によってまかなわれることになろう。

 調査のデザインは精緻かつ偏らない態様であらねばならない。名古屋市の調査はテザインに決定的な欠陥があったため、意味のある結果を出せなかった。そのようなことを防止するためには、調査・研究デザインの作成には、ワクチン専門家たけでなく、推進派と反対・慎重派双方の医師を加えるべきではあるまいか。

 調査・研究の結果、個人のリスク評価が可能となれば、厚労省として「これこれに該当する方には推奨しない」と明確なガイドラインを作成できる。個々のリスクを数値化して、合計点により定量的なリスク評価をする手法も確立できるかも知れない。

 リスクが高いと判定された女子は受けないであろうが、そのことにより死亡リスクが高まることがないように、実際に必要な検診を受ける確率を高めるための、実効的なシステムの構築も必要であろう。

 そもそも、接種したとしても、子宮頸がんの原因ウイルスは幾種類もあり、ワクチンの攻撃対象ウイルスはそのごく一部。接種したことで安心して、検診をしないことによりかえって死亡率が高まる危険もあるから、検診体制を先進国並みに整備することは是非ともなされねばならない。

 リスクを評価する手法が確立することにより、実際の被害者の実数は大きく減じることであろう。被害者の実数が著明に減じることは、ワクチン製造企業にとっての利益であることも言うまでもない。リスク評価手法の確立は、女子中高生にとって必須なことであり、ワクチン製造企業、推進派、反対・慎重派、厚労省の四者ともそれに賛成し、四者は協業できるのではなかろうか。