元友人の医師二人へ

 HPVワクチン推進派の代表格とみなされる二人の医師、上昌広氏と久住英二氏には、2008年以来、個人的に絶大な恩義がある(2008年、私は厚生労働大臣を被告として、リハビリ棄民政策の差し止めを求めて二件の行政訴訟を開始。真っ先に支援を開始してくれたのは両人だった)。HPVワクチン問題への姿勢が異なるために、両氏は私をツイッターでブロックする形で、私との人間関係を断った。『女性セブン』の2016年4月14日号において、私は上氏の言動を「医師としての倫理」の観点から非難した。

 彼らは「現場からの医療改革推進」を実践してきた。両氏が苦境に陥った患者達(CFS/MEという難病患者だけでない)を救うために絶大な努力を重ねてきたことを、私は深く知っている。現場・現実を直視して問題を同定し、解決するための方策を試みるという両人のかつての姿勢と、HPVワクチン接種後の患者をみることなくして被害者会(の人々)を揶揄・誹謗・中傷するような言動とは明らかに矛盾している。彼らがどのような経緯で道を踏み外したのか、幾通りもの説明が考えられるが、それは言わない。

 私が昨年6月に被害者のある方とコンタクトを取った時に、(被害者会から憎まれている)上・久住両医師とは昔からの知り合いだと正直に言ったため、「スパイ」の疑いをもたれてしまった。誤解が解けてからは、被害者会の方々と情報・意見交換を重ねてきている。私には上氏らと被害者会とを仲介する用意がある。このような立ち位置にある医者は私以外にそんなにいないはずだ。

 両氏に呼びかける。まずは、これまでの医師倫理に反する言動について、被害者会の人達に真摯に謝罪すること。謝罪が受け入れられたら、現実の患者さんをみさせて下さいとお願いすること。HPVワクチンの「有効性」と「安全性」を示唆する百の医学論文よりも、現実世界で苦境に陥っている数人の女子中高生をしっかりとみる方が大切ではなかろうか。

 HPVワクチンの被害者達が7月27日に集団訴訟に踏み切った。上氏も久住氏も私が「勝てる見込みがほぼゼロの裁判」を起こした時は絶大なる応援をしてくれた。然るに、久住氏はHPVワクチン被害者は裁判で勝てるはずがないと公言し、被害者会の事務局長を執拗にツイッターで揶揄している。上氏と久住氏が本来の「現場主義」の姿勢に戻ることを願って、本稿の終わりとする。

 善とは人と人とを結び付けること、悪とは人と人とを離反させること(トルストイ)