被害の実態が不透明

 子宮頸がんワクチンは、接種後の過剰な免疫応答により、神経障害(中枢神経系症状、抹消神経症状)をおこしています。①感覚系障害(頭痛、関節痛、筋肉痛、視覚障害、痺れ等)、②運動系障害(不随意運動、脱力、筋力低下、歩行運動失調、けいれん)、③認知・情動系障害(学習障害、記憶障害、見当識障害、睡眠障害)、④自律神経・内分泌系障害(発熱、月経異常、過呼吸)などを発生させているとされます。

 今回の提訴者の中には重篤な副作用である、ギランバレー症候群、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス、体位性頻拍症候群(POTS)などの自己免疫性疾患や脱随性疾患など難病の診断を受けている人もいるようです。「第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成 27年度第 4 回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」(合同開催:2015 年9月17日)で、厚労省は「子宮頸がんワクチン副反応報告」を提出しました。

 この中で、これまで副反応報告で集積した2584人を副反応疑い例とした上で、発症日・転帰が確認できたものが1739人、うち未回復者を186人と発表していますが、この数はあまりにも少ないとの批判があります。今なお重篤な副作用のために治療中の被害者が調査の報告中に入っていなかったり、調査自体が国や自治体ではなくメーカーのMR(医薬情報担当者)が主導していたこと、救済窓口となるべき自治体の中には救済制度はおろか、この問題についての大きな情報格差があることなどから、もの言えぬ被害者が多く存在することが予想され、国の把握している被害者数は氷山の一角に過ぎないと思われます。

 全国子宮頸がん被害者連絡会に寄せられた被害者登録では①被害者は全国におよぶこと(とりわけ首都圏に多い)、②接種年齢は13歳をピークに12、14、15歳が大半を占めること、③20代~45歳までの接種者もいることなどが報告されています。初交以後の接種も含め、このワクチンの有効性についての正確な情報提供がされないままに接種が推進されていたことがわかります。2016年3月の提訴会見以後、被害者登録数は530件余になったとされていますが、潜在的な被害者数は計り知れません。

認められない副作用被害

 2016年8月3日の子宮頸がんワクチンに関するPMDAの報告では、ADEMやギランバレー症候群(GBS)など添付文書にも副作用として書かれている症状についてもたった1件しか認められていません。また、市販後、2016年6月30日までに決定(判断)された件数は129件ですが、うち28例が不支給、救済されたのは101例とされています。救済申請自体が多くの書類や医師の診断書等の労多いものですが、重篤な副作用にあい、ようやく申請までこぎつけても否認が大多数というのが実態です。大半は医療費と医療手当のみの支給に留まり、被害救済に資するものとなっていません。そもそも、申請自体にたどりつけない被害者が大半です。

 子宮頸がんワクチンは定期接種前の被害者が大半を占めます。ですから定期接種以外の PMDA での審査も詳しく公表される必要があります。公表されることで、同じような症状に悩むより多くの全国の被害者が被害に気が付くことが必要です。入院レベルでないものも救済するとしていますが、入院できずにさまざまな不調を訴えたり、学校に通えなくなっている多くの子どもがいます。接種から数年たち、患者記録の保存もむずかしくなってきています。症状が改善している例もありますが、症状によってはこうした救済の土俵にすら上がれない人も多くいます。