その上で、因果関係の立証は、動物実験のように条件づけできないので、あるがままの状態を受け取る経験科学として、4つの原則論の組み合わせによって蓋然性が60%以上の確率によりワクチン禍の存在を肯定させたことです。こうした化学物質による被害の因果関係の立証については、経験医学、社会医学の観点から解決されるべきだと提唱されています。

 予防接種問題についての白木博士はいくつか「遺言」を残されています。まず、白木博士は、ワクチンがどう改良されても絶対になくならないと断言しています。「ワクチンを製造・管理する人が自らいわれているように、ワクチンは所詮「毒をもって毒を制する必要悪」であって、「たとえ防御抗原のみの純粋な製剤が開発されたとしても、それ自体は抗原であるから、アレルギー反応による神経系の傷害を惹起する可能性を避けられないであろう。(中略)。正と負の効果(アレルギー反応とワクチン禍)とは常に表裏一体をなしている。特に神経障害のように、少数であっても犠牲者が出てしまうことを、今後いかにワクチンを改良しようとも避けて通ることができないのは、理論上または経験上からも明白である。またもし副作用を避けるために本来の毒性を薄めてしまうなら、その防御効果は全く期待できないことになる。しかも神経細胞は容易に失われやすい事実に加えて、失われた神経細胞は二度と再生されることはなく、後遺症として永久かつ不可逆性に残ってしまうという厳然たる事実がそこにある。これが神経組織が他の臓器や組織と違う最大の特徴をなしている」

 「①弱毒化したワクチンが強毒化する点についての症例は述べなかったが、これはワクチン自体の問題か、それとも接種を受ける個体側の問題か、それは大きな学問的な問題として未解決。いずれ実現するであろう遺伝子組み換えワクチンによる安全性について、特に大きな問題になるであろう。遺伝子組み換えの基礎的な部分が完全にわかっていないのではないだろうか。②ワクチン禍には第1から第4アレルギー型まであり、それぞれ相互の移行型もあり免疫学の領域から見ても未知の部分が数多く残っている。また、遅延型アレルギーの重大な問題が残っている。4原則目は、医学のうちの特に免疫学のうちで、未知の領域が数多く残っている。今後のワクチンの改良、強制接種の廃止、その他によって、将来の問題としてクローズアップされるのは、国賠がそのまま適用できなくなるというのは思い過ごしか。(中略)どのようにワクチンが改良され、被害者の数は減ってこようと、ワクチン禍がなくなってしまうことは考えられないとすれば、今後のワクチン禍訴訟は、どのような総論・原則論に基づき、国の責任論はどのようなものになるのかの問題を今からでも真剣にかんがえておかなければならない」。白木博士が、1998年12月に危惧されていた問題提起は、子宮頸がんワクチン問題の発生を見据えていたかのような重みがあります。

もう一度問い直す、子宮頸がんワクチンの必要性

 長年予防接種問題に取り組む中で、シンプルな結論にたどり着きつつあります。それは、「ワクチンの安全性や有効性に優先するものは当該ワクチンの必要性についての徹底した検証」です。一言でいえば、「やらなくてよいワクチンで、利益より被害が多いものはやるべきではない」ということです。現在、0才までに13回(2016年10月からはB型肝炎ワクチンも導入されるために16回)のワクチン接種が定期接種とされています。勢い、複数ワクチンの同時接種が勧められ、同時接種後の死亡例も発生しています。効果に疑問のあるインフルエンザワクチンも1994年の改正時には30万本まで減少したものが、5500万本を超える生産高となっています。

 2000年代に入り、一方で、被害者救済が強調されることは、より多くの感染症による被害を予防すべきワクチン行政をゆがめるという指摘のもと、ワクチンで予防できる病気という原語が、ワクチンで防げるものは防ぎたい(防ぐべき)という標語のもとに、Vaccine Preventable Desease(VPD)という考え方が台頭し、予防接種推進の巻き返しを図る医師会とワクチンの世界戦略が跋扈するなか、2012年5月23日の厚生科学審議会予防接種部会の「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)[注4]以降、厚労省も基本政策としてVPDの考えを採ることを明確に打ち出しています。しかし、いまこそ、ワクチンがあるから接種すべきというのではなく、本当にそのワクチンが必要であるのかどうかという原点に返って考え直さなければならない時期にきていると思います。子宮頸がんワクチン問題はそのことを警告していると言っても過言ではありません。

 接種再開論者は、「日本だけがワクチンを接種しないことで将来子宮頸がんで死亡する不利益がある」と言います。しかし、当初から、ワクチン接種だけでは原因ウイルスであるHPVの感染を防ぐことはできず、検診の重要性が強調されていました。ワクチンの有効性については添付文書ですら、断定していません。がん予防効果は証明されていない上、前がん病変の予防効果も限定的、継続感染におけ効果持続期間すら不明です。
以下は拙著[注1]からの引用です。