翌9月18日から疾病・障害認定審査会感染症・予防接種分科会(認定部会)ではHPVワクチンの審査が始められました。しかし、申請自体が多くない中、しかも定期接種前の接種が大半であることから、もともと被害者を絞っておこなう審査制度は真の被害者の救済のための審査とは程遠いものといえます。2016年7月22日の、「研修会」では、「診療の質を高める」「被害者で診療調査協力者には支援金を出す」「事業接種時のPMDA法では救済されない入院相当でない通院についても医療費・医療手当の範囲とする予算事業措置をする」と確認されました。目新しいところでは、「臨床的観点からの研究に加え、疫学的観点からの研究を実施する」というものですが、現在の被害者のためにどれだけ役立つ研究がされるのか疑問です。

 この「研修会」は、「回復例」の報告研修会と称し、国の協力指定病院のうちの4例を医療機関の医師(ペインクリニック等)が回復例として紹介しましたが、痛み感覚障害や脱力、意識消失発作、記憶力低下、頭痛、耳鳴り、まぶしさ、立ちくらみなど、それぞれ患者の接種歴や主訴、初診時の様子や経緯を説明し、医療者が患者に親切に冷静に対応すること、普通の生活をさせること、慢性疾患となった副作用被害に病名をつけることは意味がないこと、ワクチンとの因果関係を追及することは痛みに対するネガティブな思考となり症状を悪化させること、原因のわからない痛みは多くあることなどを患者に説明している等と報告されました。

 牛田班[注2]が提唱していたように、認知行動療法(慢性疼痛の原因治療と慢性痛と心理社会的要因の相互作用から物事の受け取り方や考え方である「認知」に働きかけて物事のとらえ方を改善し、日常生活でできることを増やし、痛みがあっても安心してできることをする、因果関係や病名を特定することは意味がないなど、決して因果関係を認めようとしない国の立場に添うため、ワクチンとの関係を棚上げしたままで対処方法をすすめているように受け止められました。心因性の病気には心因性治療で対応するというものでしょうか。

 そもそも、政府の予防接種関連の審議会は、ワクチンの導入から、評価、救済にいたるまで、一貫してワクチン擁護の立場を取っており、その委員構成は利益相反を強く疑わせるものです。子宮頸がんワクチンも最初にワクチンの医学的な評価をするためのファクトシート作成にあたって、グラクソスミス・クライン(GSK) 社員の論文が重用されたり、関係委員がメーカーからの寄付金を受け取っていたことなども明らかにされていますが、このようなことは氷山の一角です。

 副反応の検討すべき審議会(厚生科学審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の合同開催、以下合同開催)の委員長が、メーカーから多額の寄付金を受け取っていて、合同開催の審議規程により参加できないことも多々あります。しかし実際はその委員の知見が必要として発言を許し、審議会の議論をリードしています。しかも、その委員が最終的な個々の副反応を審査する認定部会の部会長をしているのがこの国の実態です。信頼できる審議会体制とは到底言えないところで、実質的な予防接種行政を決定づける審議会は国の責任回避のためのノウハウを蓄積しているとしか思えません。

 それ以上に問題なのは、こうした失政が明らかになると審議会内の一部委員が「意見」を出して小手先の救済の対応(ポーズ)をとることです。2015年9月17日の「有志の意見書」はその典型例です。国としては訴訟回避しながら被害者の声にこたえるための苦肉の策かもしれませんが、責任をあいまいにする姿勢は許されるものではありません。訴訟ではどこまでこうした意思決定が問われるのか、注視していきたいと思います。