そしてこれが「ポスト安倍」が安倍首相以外にありえない答えにもなっている。与野党問わずに、「ポスト安倍」と目される政治家や政治勢力は、財務省の消費増税路線の妄執の奴隷でしかない。さきほど消費増税は財政再建のための「手段」でしかないが、しばしば「手段が自己目的化」していると書いた。まさに消費増税ありきの財務省脳的な政治家が日本の圧倒的大多数である。むしろ財務省的な経済政策観をもたない政治家を数える方が容易だ。アベノミクス(の金融政策中心)的政策観をもつ国会議員は、その数は二けたいかないだろう。

 財務省にとって消費増税が自己目的化しているため、それに貢献する政治家たちもすべて消費増税のための手段でしかない。なんといっても財務省的な経済政策観をもつ政治家は腐るほどいるのだ。

視察先で桃を摘み取る小泉進次郎農林部会長=7月3日、福島県福島市
視察先で桃を摘み取る小泉進次郎農林部会長=7月3日、福島県福島市
 ちなみに自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち―稲田朋美防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らーの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑や批判が明瞭である。稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしたが、これも「なぜそもそも消費増税を経済が低迷しているときにこだわるのか?」という疑問に一切答えがない、消費税引き上げが自己目的化したものだ。また小泉議員はより深刻かもしれない。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのだろうか、ともかく経済的な倹約(社会保障の見直し)という視点しかない。むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのだろうが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり希薄だ。石破議員は、デフレ脱却を金融政策中心で行うと高いインフレに帰結するなど副作用の可能性を指摘してきた。いずれも財務省の消費増税路線やその背景にある財政再建主義に親和的だ。とりあえず代表的な三者をあげたが、さきほど指摘したように他の政治家もごく少数を抜かして同じ考えだと断言していい。

 財政再建は大事かもしれない。だが経済が十分に復活しないときに、増税や財政支出の緊縮を行えば、それは国民の経済生活を困難なものに陥れるだろう。経済のまともな発展の副産物として、財政再建は実現されるものでしかない。

 筆者の希望的な観測だが、国民の多くが実はこの財務省的な政策観が「狂ったもの」であることにうすうす気づいているのではないだろうか? 

 安倍政権の支持率の高さが、「ポスト安倍は安倍晋三」といわせる背景には、この国民の覚醒があるように思えてならない。だが、これは希望の芽であると同時に、現状では安倍政権以外に、まともな経済政策観を抱く有力な政治勢力がないことを示唆してもいて、そこに日本の潜在的なリスクがあるといえるだろう。