その点で、『バリバラ』は野心的な番組を制作してきた。健常者がしている恋愛・セックス・婚活・就活・アート活動などが障害者にもあることを紹介し、「SHOW-1グランプリ」という”障害者芸人”によるお笑いコンテストも制作してきた。そうした画期的な取り組みの延長線上に、「お笑いは地球を救う」が生まれたのだ。

 こうした取り組みを観て、「障害があったから注目されるのは嫌だ」と感じる人もいるだろう。

 しかし、芸人として出演したい人にとって、”◯◯芸人”としてカテゴライズされるのは、むしろふつうの売り込み方であり、特別視とは真逆の作法といえる。芸人として目立つために、「ハーフ芸人」や「高学歴芸人」など自分のキャラを最大限に活かすことで芸を観てもらうチャンスを作るのは、王道だからだ。
2014年12月、NHK「バリバラ」で放送された特集ドラマ「悪夢」。障害者エキストラの迫力ある応援で盛り上がるラウンジ「悪夢」のプロレスシーン
2014年12月、NHK「バリバラ」で放送された特集ドラマ「悪夢」。障害者エキストラの迫力ある応援で盛り上がるラウンジ「悪夢」のプロレスシーン
 それを考えれば、自分には障害という強みがあったんだという気づきは、芸人を目指す当事者にとってはうれしいことかもしれない。もちろん、実際に芸人としてメシを食って行きたいなら、『バリバラ』以外の番組や他局にも出演できるようにしていくことが求められるだろう。それが、芸人としてふつうのことだからだ。

 そこまでの売り込み指南を『バリバラ』がしていくのかどうかはわからない。だが、『バリバラ』はこれまでもスタジオゲストだった障害者たちをドラマに出演させたり、障害者芸人とプロの芸人を共演させてお笑いビデオを制作するなど、知名度を上げるという点では意欲的な番組制作を行ってきた。

 チャンスは十分に与えられた。あとは、”障害者芸人”自身が自分にとって納得できるお笑い活動をどう展開していくのかについて、番組の外でのありようを紹介してほしいものだ。