なぜ株式運用比率は引き上げられたのか?

 安倍政権は、民主党から政権を奪還して以降、公的年金の運用を国債から株式にシフトさせてきたが、2014年10月、運用ポートフォリオの見直しを行った。即ち、それまで60%とされていた国債などの国内債の運用比率を35%に引き下げる一方で、国内株式のそれを12%から25%に引き上げると同時に、外国株式のそれも12%から25%へ引き上げたのである。

 では、何故株式運用比率を高くしたかと言えば、一つには、国内金利が異常に低い状況になり、主に国債などで運用するだけでは期待される運用益を計上することができなくなったこと、そして、もう一つには、株式運用比率を引き上げることで、株価の上昇が期待されたからである。

 しかし、国内金利が何故異常に低下したかと言えば、アベノミクスがスタートして以降、インフレターゲットが正式に採用され、金融緩和が一段と進められたからなのだ。

 というよりも、日銀が大量に市場から国債を買い上げることにより金利を大きく低下させて国債の魅力をなくし、そうしたことによって行き場をなくした資金を株式投資に向かわせようとしたと見ることもできる。

 つまり、安倍政権は金利をさらに低下させることによって株式投資の魅力を増し、そして、公的資金の運用を相対的に魅力が増した株式投資へシフトさせることによりさらに株価の上昇を目指したと言えるのである。

 しかし、そうした人為的な政策でいつまでも株価の上昇が続く筈はない。何故かと言えば、一つには、さらなる株価の上昇をもたらすためには継続的に株式運用比率を上げていく必要があるが、いつまでもそうすることは不可能であるからだ。極端な話、株式の運用比率を100%にまで引き上げた後は、それ以上上げようがないし、また、積立金の額を大きく増やすことも不可能であるからだ。というよりも、積立金は毎年5兆円ほど取り崩されているのである。

 従って、株価の運用比率が限度いっぱいになるとその後は株価を上昇させる要因にはなり得ず、他の外的要因による株価の変動をただ受け入れるしかなくなるのである。