「内閣府の消費動向調査」(2016)によれば、「貧困女子高生」が中学生であった2012年頃のパソコン普及率は67.0%。世代別では、29歳以下が76.4%である。そして若者たちのパソコン所有率は、近年、大きく減少傾向にある。この数値が多いか少ないかは受け取り方によって異なるだろうが、少なくとも「2割以上の若者たちはパソコンを所有していない」という事実がある。

 筆者は大学の情報系学部に勤務しているが、そこにもパソコンを私的に所有していない学生はいる。家族で共用している場合でも、親が仕事などで利用することがメインであり、頻繁に利用することもなく「必要不可欠なモノ」にもなりえていない場合は少なくない。

 若者たちのパソコン未所有の要因と経済的事情には大きな相関関係はないというのが現実であるように思う。パソコンの有無やパソコンのリテラシー能力と家庭の経済状態は、無関係とは言えないまでも、それ以外の要因の方が現在でははるかに大きいからだ。家庭や学生本人たちのパソコンへの理解や関心、認識の方が、「パソコン所有の有無」には大きな影響を及ぼしているはずだ。

 パソコン未所有の若者たちを集めてインタビューをしてみれば、「貧困だから持っていない」という人よりも、「使わないから/わざわざ買う必要がないから持っていない」という人の方が多いだろう。それは「テレビ未所有」の理屈と同じだ。

 「自分たちにとって重要度が低いから購入していない」のだから、お金持ちの家庭の子どもでも、パソコンを私的に持っていない(持っていても全く利用しない)という人はたくさんいる。

 若者にとってのパソコンの最大のニーズであるゲームやインターネット動画の視聴でさえ、近年、急速にスマートフォンに移行しているため、パソコンの「必要率」はさらに下がっている。スマホを使いこなし、驚異的な速さで文字入力をしている学生が、授業では高齢者向けのパソコン教室で見かけるような操作をしている姿を見ることも、決して珍しくない。


 パソコンを持っていなくても、パソコンでできることの多くが、スマートフォンでできてしまうため、パソコンを所有する必然性は低い。パソコンに触れる前に、スマホを所有する世代が今の若者たちだ。