英国大使館公使をはじめ、高官の亡命が相次いでいる。韓国政府の調査によると2014年から16年に韓国に入った脱北者の約7割が「北朝鮮で自分は中・上級の暮らしをしていた」と答えている。経済的理由ではなく、体制への不満から脱北する幹部が増えている。

 昨年、韓国マスコミが亡命説を報じ、北朝鮮が「スキー場工事に今も従事している」と否定した朴勝元上将は本当に亡命していることを私は確認した。彼は元人民軍総参謀部副参謀長を歴任した最高幹部の一人で機密情報を多数持っている。朴上将の略歴は以下の通りだ。1946年11月生まれ、現在69歳。人民軍人養成のための最高学府である金日成軍事総合大学を卒業し、1992年4月に中将階級に上がり、人民軍総参謀部副参謀長を歴任した。2000年9月に済州島で開催された第1回南北国防長官会談に北朝鮮側次席代表として参加、2002年4月人民軍上将(星3つ)階級となった。2010年9月、金正恩が後継者として正式に推戴された朝鮮労働党代表者会議で党中央委員に選出された。

 韓国政府は認めていないが、私が入手した北朝鮮側の情報によると、亡命した将軍は4人いる。少将1、中将1、上将2。残り3名の名前は不明だ。韓国マスコミがやはり昨年亡命説を報じた朴在慶大将は亡命していないが、第三国で保護されている可能性がある。これまでの軍人亡命の最高位は大佐だったから、将軍が複数亡命した事実は、人民軍幹部の忠誠心がどれほど低下しているかを示す指標となる。

北朝鮮の労働新聞が6月23日に掲載した中長距離戦略弾道ミサイル「火星(ファソン)」の発射実験を視察する金正恩朝鮮労働党委員長の写真
北朝鮮の労働新聞が6月23日に掲載した中長距離戦略弾道ミサイル「火星(ファソン)」の発射実験を視察する金正恩朝鮮労働党委員長の写真
 内部情報によると、多くの将軍らは金正恩にはついていけない、除去すべきだと考えているが、家族親戚まで粛清されるので機会を待っているという。朴勝元将軍も韓国で金正恩打倒を支援して欲しいと提案したという。

 すでに金正恩暗殺未遂事件が2回あった。1回目は2012年11月3日、平壌紋繡通りの建設現場でのことだった。その日、金正恩は完工を控えた複合サービス施設柳京院と人民野外スケートリンク、ローラースケート場を視察するということになっていた。当日朝ある男性が柳京院の近隣の横になった檜の木の下に巧妙に隠されていた装填された機関銃を発見して直ちに保衛部に申告し、暗殺未遂事件が発覚した。事件直後、金正恩官邸と別荘をはじめとする専用施設30ヶ所余りに装甲車100台余りが新しく配置された。

 2回目は日本でも一部で報じられた2013年5月、平壌市内での交通事故偽装暗殺企図だった。現場にいた女性交通巡査が「共和国英雄」称号を受けたことから、暗殺説が拡散していたが、北朝鮮は「金日成、金正日の肖像画を火事から守った」という偽情報を流していた。

 最後に北朝鮮の金正恩政権がテロ集団ISに韓国内でテロを起こすことを依頼した、という驚くべき情報について書いておく。私が今年4月頃、北朝鮮内部から入手したところによると、米韓軍が斬首作戦(金正恩殺害軍事作戦)演習を行ったことに激怒した金正恩は3月初めISが支配するシリア国内に5人の使者を送り韓国内でのテロ実行を依頼し、見返りとして武器支援を提示した。ISはその依頼を受諾したという。まさに、「悪の枢軸」によるテロ連繋だ。