一日に三〇の食材を食べる健康法を勧める


 では、そんなことをしているヒマが(やる気も)ないビジネスパーソンが「バランスよい食事」をとるためにはどうすればいいのか・・・。私が勧めるのは『一日三〇食品』を食べる方法だ。

 これはまったく根拠のない食事法ではない。2005年に『食事バランスガイド』が発表されるまで、厚生労働省が「健康に長生きするための食事法」として推奨していた方法である。年配のビジネスパーソンなら聞いたことがあるはず。

 その日食べた「食材」を、1つ、2つ、3つ・・・と数え上げていけばいい。小学生以上ならだれにでもできる方法だ。もちろん多少の数え間違いなど気にしなくていい。いたって簡単で、有効な食事法だと、私は今でも思っている。

 なぜこれが『食事バランスガイド』にとってかわられたのか? 基本的にはエビデンスがイマイチだったこと。つまり『一日三〇食品』を食べる方法よりも『食事バランスガイド』による食事法のほうが、たしかであるという科学的根拠が揃ったということ。

 ただし、絵に描いた餅よりも小さなきびだんごのほうが腹の足しになるように、まったく実行不可能な『食事バランスガイド』よりも、多少は実行可能性のある『一日三〇食品』のほうが、ビジネスパーソンにとっては有益であると、私は考える。

 『一日三〇食品』法の神髄は「食材の数」ではない。「できるだけ多種類の食材を食べる」という点にある。これを心がけよう。やってみるとわかるが、食材の数を増やすためには、野菜の種類を増やすしかテがない。「肉で3種類」とか「魚で5種類」とは至難の業。つまりは「多種類の野菜を食べよう」という提案になる。

 ただし、『一日三〇食品』を実行すれば健康になれる!などと早合点しないでもらいたい。これは、『日本人の食事摂取基準2015』や『食事バランスガイド』を実行することができない人の「次善の策」「次々善の策」である。大きな効果を期待できるわけではないが、何もやらないよりはずっといい、という程度であると自覚してほしい。

 このコラムでは(今回のような)ビジネスパーソンが実行可能な健康法、とりわけ食事法をご紹介していきたい。最後に書いたように、これさえ実行すれば健康・長寿が実現できるなどと思い込まないでほしい。健康や食事に関する知識レベルや実践レベルは、個人によって天と地ほどの差がある。そのレベルを仮に「松・竹・梅」としよう。理想的には「松」の方法がいいことはわかっていても、それを「梅」の人に提供しても効果的ではない。ここでは「梅」の人を「竹」の方向に導く実践的な情報を提供する。できることが一つでもあればぜひ実行していただきたいと願う。

 次回は「何を、どれだけ」のうちの「どれだけ=量」の問題を取り上げたいと思う。