3.タレントの独立、移籍を阻害する「妨害行為」の存在
 これについても真偽は定かではありませんが、一部メディアは、所属事務所と揉めて独立や移籍を行ったタレントについて、ある大手事務所がメディアに対し、当該タレントを出演させないよう働きかけるなどの「妨害行為」を行ったケースがある、と報じています。仮にこのような報道の中に、事実と認定されるようなケースがあったとしたら、憲法が定めた「職業選択の自由」に抵触した可能性があります。
警備員が報道陣をシャットアウトするなど、物々しい雰囲気のジャニーズ事務所=東京都港区
警備員が報道陣をシャットアウトするなど、物々しい雰囲気のジャニーズ事務所=東京都港区
 一方で、芸能事務所の立場に立つと、「多額の投資を行ってタレントを育成した後、投資資金を回収する時期になって、独立や移籍をされたらかなわない。」という事情があることも良く理解できます。その解決のためには、国などが主導して、タレント、芸能事務所の双方が納得できる「所属タレントの独立・移動に関する業界標準のルール」の策定を促すことが必要ではないか、と考えられます。

4.所属タレント等に対する「ハラスメント」に相当する行為
 一部のメディアは、過去に経営者などが所属タレントに対して、セクシャル・ハラスメントに相当する行為をしていた事務所がある、と報じています。また真偽は不明ながら、「所属事務所の経営者から、性的関係を要求された。」といったタレントのコメントが掲載された書籍等も出版されています。仮にそのような報道の中に、事実と認められるものがあったとしたら、一般企業等と同様に、タレントを各種ハラスメントから保護、救済するための制度創りが必要だと感じます。

芸能プロダクション業界の「近代化」を促す政策案

 日本の「芸能プロダクション業界」の市場規模は、推定で1兆円を超えると予想されます。その市場規模からすると、ひとつの産業として認知されるレベルにまで拡大していると言えるでしょう。

 しかし、芸能プロダクション業界を構成する芸能事務所の殆どは中小企業であり、タレント・マネジメントやコンプライアンス、コーポレートガバナンスといった領域が未整備のままになっている事務所も多いと予想されます。また芸能界全体についても、商習慣等の面においては、旧態依然とした慣行が色濃く残っていると感じます。

 このように、中小企業が主たる構成員となっている旧い体質の業界に対し、「クールジャパン」の推進役にふさわしい「クリーンな業界」になるよう変革を求めるためには、政治の強力なリーダーシップが不可欠だと思います。そこで筆者は、以下のような政策の推進を提案します。