1.監督官庁の選定と「許可制」の導入
 芸能プロダクション業界の指導・監督を行う監督官庁を定め、人材紹介・派遣業業界等と同様の「許可制」等の導入を検討する。並びに法整備やガイドライン等の策定、各種指導等についても検討を行う。

 例えば経産省の中に、芸能プロダクション業界を指導監督する部門を創設し、許可を求める事務所等に対して所定の審査を行い、審査をクリアした事務所にだけ営業許可を与えるとともに、事業者登録を行う制度の導入を図る。なお事業者登録がされていない事務所に所属するタレントは、原則としてNHKの番組や、国等の公的機関が関与するメディア、イベント等に出演できない等の措置も検討する。

2.業界の近代化を促すための各種是正策の策定、並びに適切な指導・監督等の実施
 経産省等の監督官庁が、公正取引委員会や総務省、厚労省等と協力して、「不適切な商慣習の是正」、「タレント・マネジメント契約の是正」、「所属タレントの独立・移籍に関する業界ルールの策定」「コンプライアンス、ガバナンス等の改善」等に関する実態調査を実施した上で、必要な法律の整備等を検討する。また登録事業者等に対して、業界の近代化を図るために必要とされるコンプライアンスやガバナンスの整備等に関する指導・監督、教育等も実施する。

 上記のような政策を推進できれば、芸能プロダクション業界の体質も、次第に変わっていくものと予想されます。

「芸能プロダクション業界」から「エンターテイメント業界」へ

 仮に芸能界に、SMAPのような一流のタレントやアーティストであっても、一度所属事務所とトラブルが起きると、独立や移籍もままならず、タレント生命が絶たれてしまうような体質が残っていたとしたら、世耕経産相のコメントにもあるように、日本の成長戦略にとっても大きな痛手になりかねません。 

 一方で、「BABY METAL」のように、世界で活躍しているタレント、アーティストも出現しつつあります。このような動きを加速化するとともに、業界の近代化も併せて進めていくためには、タレント、アーティスト等が、旧来の芸能界の商慣習にとらわれずに、安心して活動できるようにするための環境整備を、国が率先して行っていく必要があると考えられます。

 現在国民の間では、「SMAPの解散」により、芸能プロダクションの体質についての関心も高まっています。政府はこれを好機として捉え、「芸能プロダクション業界」が「エンターテイメント業界」へと変革を図れるよう、適切な指導・監督を行っていくことが望ましいと思います。芸能プロダクション業界の近代化が実現できれば、世界のエンターテイメント業界の中で、日本がアジアにおける「ハリウッド」的なポジションを築ける可能性も拡がり、日本経済全体の活性化にも繋がっていくことが期待されます。(シェアーズカフェ・オンライン 2016年8月31日分を転載)

【参考記事】
■「SMAP解散」で気になる、ジャニーズ事務所のマネジメント
■「営業部長 吉良奈津子」が軽視する、広告業界の職業倫理
■企業風土改革に失敗した、三菱自動車の末路
■「ショーンK氏問題」から考える、コンサルタントの学歴詐称
■ブランディングの後進国であることを示した「東京五輪エンブレム問題」