もちろん、インターネットにもダメなところはたくさんある。記事のパクリは多く、不確定な情報も垂れ流されるし、すぐに炎上する。映像制作能力に関してもテレビや映画に較べればまだまだ稚拙である。何より資本力において大きな差がある。しかし、これらの問題は数年前に較べれは少しずつだが改善されつつある。一方でテレビは、NHKを除く民放のテレビ局は制作能力がどんどん低下しており、若い才能を輩出することが難しくなってきている。

 このことを考えると5年後、10年後にはコンテンツ制作能力の差はかなり縮まってくることだろう。その時に小林幸子のようにテレビに返り咲くこともできるはずだ。インターネットとテレビの人材はもっと循環していいし、一部ではそうなりつつある。だからこそ、今回の騒動の時代錯誤感が際立って見える面もあるのかもしれない。

画像はイメージです
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 例えばSMAPのメンバーがTwitterのアカウントを持っていて、自由に発言できる環境があれば、今回の騒動は全然違ったものになっていただろう。ジャニーズ事務所は他のタレントと較べるとネットに対する規制が厳しい。現在はだいぶ改善されつつあるが、今も雑誌の表紙がネットに掲載される時は、タレントの姿が白く切り抜かれている。

 00年代のネット黎明期は、まだ権利関係の整備が不十分だったので、所属タレントの権利を守るうえで多少は仕方ない面もあったと思う。しかし、YouTubeやニコニコ動画が登場したことで映像配信の面でテレビに拮抗するメディアにインターネットが変化して以降は、Netflixのような有料動画配信サイトも現れている。特に、ニコニコ動画やLINE動画などのネットの生配信が増えている現在では、その規制は足かせとなっている。

 逆に言うと、SMAPが事務所を独立したことによって、テレビの仕事がなくなったとしても、元々、ジャニーズ事務所の力が及ばないネットだったら、いくらでも仕事ができただろうし、逆にSMAPがネットに進出することで、テレビとネットの力関係を大きく変える業界再編の兆しにもなったかもしれない。

 言うなれば、インターネットは『ONE PEACE』における、グランドライン(偉大なる航路)みたいなものだ。

 現在、一年単位でテレビとネットをめぐる力関係は大きく変動している。沈みゆく黄昏の帝国(TV)の最後の皇帝(ラストエンペラー)として老いていくのか、ワンピース(ひとつなぎの財宝)を求めて、インターネットという新しい世界に飛び込むのか。

 90年代のSMAPなら、迷わず後者を選んだだろう。

 SMAPは今年いっぱいで解散となるが、各メンバーは、そのままジャニーズ事務所に残るという。しかし、信頼関係が悪化し、現在、まともなマネジメントが出来ていない状態を考えると、今の事務所に残り続けることに一体どれだけの意味があるのだろうか。その意味で、SMAPのメンバーがそれぞれ一人になった後も、古いテレビの世界にとどまるのか。それもと新しいネットの世界に飛び込むのか? という葛藤は、彼ら一人一人の心を締め付けることだろう。

 彼らの葛藤は、私たち70年代生まれの世代が抱えこんでいる悩み、そのものである。