蓮舫氏は憲法審査会を止めているのは自民党であるとした上で、改正について審査会で堂々と議論すべきであるとし、地方自治に関して規定する第8章や婚姻や家族について既定する第24条を「今の時代に合わない規定」として改正を検討すべきとしている。その第8章、第92条から95条の4か条で構成されているが、地方自治に関する大枠のみ規定し、詳細な内容は法律で定めることとされている。

第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。

  2  地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これ を制定することができない。


 さて一体これらの条文のどこが「今の時代に合わない」と言うのか。地方議会の設置や首長・議員の選挙を止めろとでも主張したいのか。第24条についても同様で、この規定のどこが「今の時代に合わない」というのか。婚姻が両性の合意のみに基づいて成立することや夫婦が同等の権利を有することを止めろとでも言いたいのか。

第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

  2  配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。


 蓮舫氏の無知ぶりなのか頓珍漢ぶりなのか、どちらにせよ呆れ返るのを通り越して恐れ入る。

 一方で、憲法の平和主義については守るべきとしているが、第9条の扱いについては言及がない。それもそのはず、蓮舫氏は平和安全法制については「いいものと悪いものとがある玉石混交」であるとし、「戦争法案」という言い方はミスリードであったとまで言い切っている。この発言も集団的自衛権の行使を、条件付きで容認すると言っているのと同じである。国会正門前で「戦争法案反対!」と叫ぶデモ隊の中に入り、デモ参加者と一緒に気勢を上げていたあの蓮舫氏が、である。軸なき変節漢以外浮かんでくる言葉がない。

 つまり、ある傾向とは、民進党の右傾化であり、場合によっては自民党を飛び越えて更に右側に行く可能性があるのではないか。自民党には護憲派や良識派が厳然と存在し、たとい安倍政権が暴走したとしてもブレーキ役を果たすだろう。しかし現在の民進党は、前々回の民進党代表選に関する拙稿で指摘したとおり、ベクトルなき無党派層の集まりのようなものであり、前言をひっくり返すのがお得意な方が多いようであるから、どこへ飛んでいくか分からないのではないか。(領域警備法を含め、個別的自衛権での対応という独自案を作成し、正々堂々と議論した旧維新グループ、ブレーキ役になりうる唯一の党内グループだったが、今回の代表選で前述のようなテイタラクを演じているようでは、その可能性は限りなく低いだろう。)

 なお、玉木氏については、憲法改正議論はしっかりやるとし、向こう1年を目処に民進党としての考え方をまとめたいとしているが、立憲主義を守ることや海外での武力行使は認めないことを明言しているのみならず、違憲立法の審査のための憲法裁判所の設置等を掲げており、他の2候補とは一線を画している。玉木氏であれば、右傾化といった批判を受けることなく、自民党の護憲派や良識派とはしっかり渡り合えるのではないか。もっとも、同氏が民進党代表に選出される可能性は低いと考えざるを得ないが。