野党第1党の代表は「守り」も求められる


 こうした中、野党第1党とはいえ代表にもなれば「攻め」だけでなく「守り」も求められることになる。その第1弾は、今月末にも召集される臨時国会にも日本維新の会が提出すると言っている、国会議員や国家公務員らが日本以外の国籍を持つ「二重国籍」を禁じる法案への対応だろう。

 蓮舫氏としては、台湾籍の離脱手続きを進め、早期幕引きを図りたいところだろうが、法案が出れば象徴としてこの問題が取り扱わられることは間違いない。代表選における蓮舫氏の説明を聞いていても二転三転することも多く、本質的な回答を行っていない印象を受けることが多かった。国会での議論の中でもこうしたことになると、民進党への支持を上げるどころか、国民の印象を悪くしていく可能性もある。そのためにも、「攻め」と同時に「守り」をどう乗り切るかも重要になってくる。

 今回の代表選挙においても、民進党執行部は、代表選挙のやり直しや、蓮舫氏への代表選挙辞退への働きかけなどを行う選択肢もあった。こうした中で特に大きな動きを取らなかったことは、この問題はそれほど大きな問題ではないという判断の中での対応なのだろうが、逆に国民や社会が大きな問題だと捉えることになった場合には、蓮舫氏個人の問題だけに止まらず、民進党全体の対応に対する問題に波及する可能性もある。

歴代代表は「年金未納疑惑」や「堀江メール問題」でも辞任


 先日のコラム『蓮舫・前原・玉木3候補が出揃った。民進党は2020の政権政党創造を目指せ!』でも書いたように、民主党時代、代表経験者はわずか7人しかいない。鳩山由紀夫氏、菅直人氏、小沢一郎氏、岡田克也氏、海江田万里氏、野田佳彦氏、前原誠司氏であるが、その全員が任期満了以外の代表辞任を経験している。

図表: 民主党代表の辞任理由一覧図表: 民主党代表の辞任理由一覧
 選挙結果によって代表辞任したのが3名、記憶に新しいのは2014年12月の総選挙で自らの議席を失ったため海江田代表が辞任、2012年12月には総選挙に敗北し政権から転落した責任を取って野田代表が辞任、2005年9月には郵政解散による総選挙で大敗し岡田代表が辞任している。

 もう一つが政治と金による辞任で2名、2009年5月に自身の献金問題のけじめを取り次期選挙に向けて挙党態勢をとるためとして小沢代表が辞任、それを引き継いだ鳩山代表も自身の政治と金の問題で辞職した。

 今回注目したいのは、それ以外の代表辞任理由だ。鳩山由紀夫氏、菅直人氏は2度も代表辞任に追い込まれているわけだが、振り返って冷静に見ると、本当に辞任しなければならなかったのだろうかと思う部分もある。政局とは、そんな問題で追い込まれていくということだ。

 中でも民主党代表辞任の代表的な事例として取り上げられることも多いのが、「年金未納問題」と「偽メール問題」だ。

 前者は、2004年の国会期間中に、当初3人の国務大臣の年金未納が発覚、「ふざけてますよね。“未納三兄弟”っていうんですよ」と年金未納問題批判を行っていた民主党代表だった菅直人氏自身にも未加入が発覚し、辞任に追い込まれた。当時の小泉内閣の首相を除く閣僚17人のうち7人にも未納・未加入の事実が指摘され、福田康夫 内閣官房長官も辞任に追い込まれ、最終的には110人を超える議員に未納期間があったことが明らかになった。

 この菅氏の年金未納問題、菅氏は当初から行政側のミスであると何度も主張したが、行政側がその都度強く否定し、マスコミ報道等による世論により辞任に追い込まれたのだが、実際には、辞任後になって社会保険庁側が間違いを認め、国民年金脱退手続きを取り消したこと、同期間に国民年金の加入者であったことを証明する書面が送付されており、菅氏が主張したとおり国民年金の資格喪失は「行政上のミス」によるものであったことが明らかになっている。言い換えれば「濡れ衣辞任」といったところだろうか。

 もう一つの「偽メール問題」は、2006年の第164回通常国会において、当時の民主党衆院議員がライブドア事件および堀江貴文氏にまつわる質問を行った際に、証拠とされた電子メールが捏造であったことが発覚し、質問した議員は辞職。代表となったばかりの前原誠司代表含め民主党執行部は総退陣に追い込まれたというものだ。

 結果的に代表辞任にまで追い込まれるきっかけになったのは、前原誠司代表が党首討論を前に「期待しておいてください」と新たな証拠を提示し疑惑解明に期待感を持たせる発言であり、この発言から執行部まで関与したとして責任問題にまで波及した。いずれの問題も今考えれば、「こんなことで!?」である。

 「二重国籍問題」がこうした規模の問題になることは大いにある。