軽水炉サイクルの利点は大きく3つある。第一に、ウラン資源の節約である。使用済燃料を再処理してできたMOX燃料に加工して利用するとともに、再処理して取り出された回収ウランを濃縮して低濃縮ウランとして再利用すると、ウラン資源全体として約26%を再利用できることになる。石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料と同様、ウランも限られた資源であり、その点でも軽水炉サイクルには大きな意義がある。

 第二に、高レベル放射性廃棄物の減容と安定化だ。使用済燃料を再処理すると、直接処分する場合に比べて、廃棄する体積が1/3〜1/4にまで小さくなる。また、廃棄物に含まれる放射性物質の毒性がより早く低減するので、天然ウランの毒性と同じ程度に減衰するまでの時間が1万年以下と、直接処分に比べて1/10くらいに早くなる。しかも、高レベル放射性廃液を『ガラス固化体』という安定した状態に加工するため、以後長期間に亘って安定的に保管できる。即ち、高レベル放射性廃棄物の最終処分が格段に施されやすくなるわけだ。

 第三に、核燃料のリサイクル利用による化石燃料消費量の削減。その分だけCO2排出量を抑制できるので、地球環境保全に寄与できる。

 軽水炉サイクルでは、高レベル放射性廃棄物の最終処分地は未定だが、原子力発電環境整備機構(NUMO)が科学的有望地を近々選定する予定。NUMOは、原発事業に伴って発生する放射性廃棄物の地層処分事業を実施する国内唯一の公的機関。他の軽水炉システムに係る施設・設備は、六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)を始めとして、殆どが既に国内に立地している。

 高速炉サイクルとは、ウランを高速炉で利用することによって、消費した燃料以上の燃料を生み出すことができるもの。軽水炉でのウラン利用効率は0.6〜1.1%だが、高速炉でのウラン利用効率はその約100倍に高まり、数千年分のエネルギーとして使うことができる。軽水炉サイクルでのウラン資源の寿命は、石油など化石燃料と同等でしかない。使用済燃料に含まれるネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどのマイナーアクチニドと呼ばれる半減期の長い廃棄物を高速炉で再利用・燃焼させることによって、高レベル放射性廃棄物を大幅に低減することができるし、天然ウランの毒性と同じ程度に減衰するまでの時間が約300年と大幅に短縮化できる。その分、環境負荷を低減させる利点が大きい。

 こうした数多くのメリットが期待できる次世代技術である高速炉サイクルについて、世界では資源小国のフランスや韓国が研究開発を進めている。ロシアやインド、中国では、より早期の実用化を目指して、既存技術をベースに積極的な技術開発を行っており、2010年代に原型炉・実証炉を建設し、2020年代には商用炉を導入する計画となっている。