2008年から12年まで5年連続最下位。中畑監督が懸命にチームを鼓舞して一時首位に立つなど見どころもつくったが、13、14年は5位、昨年はまた最下位に沈んだ。

 そんな中、ベイスターズ一筋に歩み続けた三浦大輔投手は、ファンにとっても、後輩選手にとっても、特別な心のよりどころだったろう。三浦大輔自身も、一度は阪神タイガースへのFA移籍に心が揺れた。2008年のオフ、FA宣言し、阪神タイガースから入団の誘いを受けた。ファンも三浦大輔の移籍を半ば覚悟した。しかし、最終的に三浦が出した結論は「残留」だった。その決断がどれほどベイスターズファンの心を揺さぶり、泣かせたか。今季優勝を飾った広島カープで、MLBから古巣に戻ってきた黒田投手の存在が大きかったことは誰もが認識している。それと同じか、もしかしたらそれ以上の役割を三浦大輔は果たしたのではないか。今季1勝もできなかった三浦大輔を咎める声はなかった。

 昨季は主力のひとり石川雄洋内野手がFA権を取得したが、行使せず残留した。ファンは胸をなでおろした。チームが確実に変わりつつあることと、先輩三浦大輔の存在が少なからず石川の選択に影響を与えただろう。

 12球団でいちばん負けているベイスターズは、12球団で一、二を争う「心の絆」を持った球団になりつつあると言えるのではないだろうか。その力が、今季のクライマックスシリーズ出場を引き寄せた。

 ファンとの絆、選手のチーム愛を育てた球団が結果を残したことに、今季セ・リーグの戦いは大きな意義を持っている。

プロ野球DeNA-ヤクルト。DeNA先発の三浦大輔投手
=9月29日、横浜スタジアム
プロ野球DeNA-ヤクルト。DeNA先発の三浦大輔投手 =9月29日、横浜スタジアム
 CS出場を決めた後、長年エースとして活躍し、「チームの顔」でもあった三浦大輔投手の今季限りの引退が発表された。数年前にはFAで他球団に移ることも思案しながらとどまり、ベイスターズひと筋で投げ続けてきた三浦大輔への支持とファンの感謝がいかに大きかったかは、その後の現象が物語っている。

 9月24日に予定されていた三浦大輔投手の最終登板は29日のヤクルト戦。この試合のチケットを求める長蛇の列が横浜スタジアムの窓口に並び、深夜まで対応が及んだという。横浜市営地下鉄関内駅の構内は、「永遠番長」のコピーと共に「背番号18」の三浦大輔投手の勇姿が美しいポスターが多数掲示され、話題になった。

 ラストの登板は7回途中10失点。最後は渾身のストレートで三振を奪った。その背番号18は、ふさわしい後継者が現れるまで欠番になることも決まっている。