難民問題の最終的な解決は、難民が出てきている国や地域の紛争や混乱を正常化することだが、簡単に解決しないことために、「ニューヨーク宣言」は難民の第3国での受け入れや再定住を強く求め、「難民の再定住プログラムをまだ策定していない加盟国にできるだけ速やかに策定を求める。策定している国には計画の規模を拡大するよう求める」などとしている。

 第3国定住が強調されるのは、シリアの周辺国の難民数が、トルコ270万人、レバノンが100万人、ヨルダン60万人などと、明らかに対応の限界を超えているという現実がある。危機の進行を食い止め、状況を打開するためには、欧米や日本など、難民に安全で安定した生活環境を提供できる第3国での受け入れと再定住を広げることがカギとなる。

 しかし、欧州でも難民受け入れは大きな困難に直面している。EUは昨年9月22日に、ギリシャやイタリアにたどり着いた約16万人の難民の受け入れを2年間かけて分担して、加盟国に割り当てることを決めたが、9月に入っての実績は、イタリアとギリシャを合わせて約4700人と、3%にとどまっている。

 2015年に100万人を受け入れる決断をしたドイツのメルケル首相は、難民受け入れを堅持する姿勢を変えないが、国内での移民反対の世論や移民排斥を掲げる極右政党から選挙で攻勢をかけられて、厳しい状況に置かれている。

ニューヨークの国連本部で開幕した移民・難民対策を討議する国連サミット=9月19日
ニューヨークの国連本部で開幕した移民・難民対策を討議する国連サミット=9月19日


「難民受け入れ」に背を向ける日本の対応


 日本の対応は、国連サミットでテーマとなった「難民受け入れ」に全く背を向けるものだ。サミットに出席した安倍晋三首相は「日本は主導的役割を果たす」と演説しながらも、難民受け入れには触れず、今後3年間で28億ドル(約2800億円)規模の人道支援を行う考えを表明しただけだった。

 欧米の各国政府にとっても、難民受け入れには、国内で根強い反対がある。それでも難民受け入れを増やさねば、現在の難民危機は新たな紛争やテロ、犯罪など危機へと増幅しかねないという認識はある。だからこそ、難民受け入れの割り当てをしたり、受け入れ数の確認をしたりと問題に対応しようと苦心している。

 今回、国連サミットで問われた「責任の公平な分担」は、誰もが嫌がる難民受け入れへの対応だった。その中で、日本政府が金だけを出しても、国際社会と問題を共有していないことが明らかになっただけで、出した金額に見合う評価を受けることは難しいと考えるしかない。