求める外国人労働の質が変わる


 今外国人労働者を必要とする理由の一つは、2020年の東京五輪に向けた労働力確保ですが、中でも最も必要とされるのが、建設労働の働き手です。私も刑事時代に多数の外国人労働者(不法滞在や密航による不法就労者)を実際に扱いましたが、最も多いのがこの分野の日雇い労働者でした。中国人の「工頭」(手配師)が集める働き手は特段の労働スキルを求められることなく、その日限りの日当払いですから身分確認は徹底されず、裏をめくれば工頭のピンハネや不法就労などの違法性がこびりついていました。
 問題はさらに発展します。五輪建設ラッシュが終わる2018年末ごろから労働需要が変化し、おもてなし要員としての外国人労働者(通訳、接客)の技能や知識が必要とされるからです。そうなると外国人の肉体労働者階級は日本で失職しますが、無制限に笑顔で人道的要求に答えてくれる日本から帰国するでしょうか。それとも企業は彼らを正規社員として終身雇用し、十分な賃金でその生活を保護するでしょうか。職を失えば、必然的に滞在資格を失い不法滞在化しますので、身分確認の必要もない職業に流れるか、生きるために犯罪に手を染めたりすることは、密航費用の返済で生活に貧した来日中国人犯罪の取り調べに当たった経験から、私には手に取るように想像できます。そしてたとえ彼らの犯罪で日本人が被害を受けたとしても、彼らを呼び込んで解雇し解雇した企業は、もうその責任を取ることはないはずです。

 彼らはどんどん街に溢れ、逮捕を免れる目的で難民申請をするでしょう。しかし政府がその見直しを検討し結果を出す目安は2020年とのこと。完全に手遅れです。

 特に問題なのは、肉体労働者の大多数を占めるであろう来日中国人です。

 来日外国人中、検挙人口で例年ダントツ1位を独占、その犯罪傾向はすでに社会問題化している上、本国の覇権主義とあいまって日本国民から当然の「反中意識」を招いていますが、この中国自体が、2020年を前に帰国に適さない国になっている可能性があります。

 特に環境汚染は現時点でも致命的で、「がん村」を多数生み出す水質汚染は地下水にまで及び、PM2.5は衛星写真が海岸線を捉える事ができないほど濃度を上げて中国沿岸部を覆い尽くし、がん死亡率は15年前の550%増、2012年、新たにがんと診断された人は65万人にのぼります。中国の環境問題は、中国への進出や製造に関わる日本企業が、現地の反発や製品のイメージダウンを恐れているため、テレビや新聞でもその報道は抑えられがちです。8年ほど前に見てきた上海でさえ、私はゴミや排ガス、混沌騒然とした危険な交通秩序など、天地人に渡る汚れっぷりに驚いたものですが、現在の実態はより深刻です。現在来日中の技能実習生が実習を終え帰国するのは、解決の糸口さえ見えないほど環境汚染が進んだ2019年になりますが、果たして帰国するでしょうか。それどころか「環境難民」がやってきて、密航者や不法滞在者を逮捕しても強制送還先がないという困った事態に見舞われている可能性もあるのです。

 さらに政界では、習近平より年上で国家副主席の李源潮でさえ家族の身柄が拘束されるほどの粛清の嵐が吹き荒れています。その粛清は、人脈とメンツを「人生の宝」とする中国人社会に強い影響を与え、便宜を図ってくれた政治家との繋がりから、私財没収を恐れて国外逃亡する企業家が増加の一途をたどっています。

 中国では環境の悪化や政治不信、さらには経済破綻が引き金となり、5大戦区に再編成されて混乱する7つの軍区の人脈衝突や少数民族の蜂起でいつ内乱が発生するかわからない状態なのです。強制送還されたらがんになるか、貧困化するか、内乱に巻き込まれるかわからない。そんな未来の中国に、用済みとされ不法滞在化した中国人肉体労働者を強制送還できますか。誰にそれをやらせるのですか。やらせて良心が痛みませんか。それとも家族に傷みを負担させますか?