選挙に通るまでは、バラ色の政策マニフェストをいろいろ掲げるが、当選した後は、「党議拘束」とやらを持ち出し、選挙戦での公約以外のことをやってしまう議員も多い。これも政治家のプロセスが「選挙」でしかないから仕方のないことだ。しかし、「支持政党なし」は「政策もなし」というユニークな政党なのだ。国会議員は、国民の使者として議決権を行使するだけに徹するという直接民主主義の政党である。
(神田敏晶撮影)
(神田敏晶撮影)
 だから党員は基本的に、ネットやスマホで全法案の賛否を投票することが可能だ。このスキームはネット時代における民主政治の正しい姿だと思う。すなわち国会議員は、国民の賛否の声を届ける本来の意味での「代議士」であるのだ。だいたい、ネットのなかった頃には個別の法案の賛否に参加することは不可能だったし、法案を解説してもらい、リスクとベネフィットを踏まえた上で、国民が政治参加できるプロセスをプラットフォーム化しようとしている政党はいなかった。政治引退した、日本を元気にする会の松田公太・前参議院議員(タリーズコーヒー創業者)も同様のアイデアだっただけに、連携できればよかったと思う。代表の佐野氏がもっと政治の筋に近い人だったらユニークな連携ができたのかもしれない。また、今回の「支持政党なし」の候補者たちは、みずから供託金を用意し、自分の政策を持たず、国民の使者として使える人をネットで公募して選ばれている。これもユニークだろう。

 東京選挙区の方は参議院選挙の時に「支持政党なし」の4連のポスターが貼られているのを不思議に思ったのではないだろうか? なぜ、東京選挙区に候補者の顔も名前も掲載されていない政党のポスターが貼られていたのか。民進党の有田芳生議員は、「選挙管理委員会に機敏に対応すべし」とツイートしていた。これは、「支持政党なし」の4候補で支持政党なしをアピールする手法だったからだ。もちろん、公職選挙法上では、写真も候補者の名前も明記しろとの文言はないからだ。「選挙区は『支持政党なし』検索 公認候補者へ」という、候補者名を知らしめる文言があれば良いという。

 では、あの抽選方式の選挙ナンバーをどうやってクリアしたのか…。

 それはまさにコロンブスの卵の発想だった。そう、抽選には参加せず、余った番号に割り振られただけだったのだ。しかし、それは朝8時30分からはじまる、あのおそろしく荘厳な雰囲気の抽選会場でやってのけたというから痛快だ。4人で揃って「せーの」で、抽選会が終わりドアが閉まる瞬間に入ったという。実際に公示日は朝に抽選を行うが、届け出自体はその日の17時まで受付を行っているから全く問題もない。

 筆者はITを専門としたジャーナリストであり、2007年の参議院選挙ではネット選挙解禁をテーマに国政に出馬した経験がある。今回の「支持政党なし」のチャレンジの結果はゼロであったが、記録としては、確実にパフォーマンスに応じた集票ができたと感じている。2016年東京都知事選挙の時の野党が自公潰しを狙って連携した「鳥越選挙」を想い出して欲しい。民主党が旧みんなの党派閥、維新派閥と連携した「民進党」として再スタート。勝ち目のある候補者を決めあぐねていたあげく、誰がかついだのか、タレントの石田純一氏まで出馬を匂わすなどのパフォーマンス。有力野党が戦う前から軒並み自然消滅していく体たらくぶりだ。

 むしろ、「支持政党なし」のアイデアとパフォーマンスは、魅力なき野党にとっては魅力的な戦術だと思う。政治にしがらみがないからこそできる発想だからだ。しかし、政治はしがらみだらけの中で育まれている、未だに任侠の世界だ。むしろ佐野氏は、各野党の参謀として、そして現在の政治プラットフォームのASP(アプリケーションサービスプロバイダ)事業者として、新たな野党づくりをIT選挙の面でサポートしてほしいくらいだ。そして、狙いは参議院ではなく、代議士と呼ばれる衆議院だ。衆議院の法案賛否に国民が参加できる直接選挙を支持する野党が連携しやすいと思うからだ。現在の野党は分裂、吸収、合併が多すぎて、支持しにくい。だからこそ「支持政党なし」ではなく「野党支持」という政党で『鳥越方式』でまとまるしか能がなかったのだ。自民の推薦もなかった自民の小池百合子都知事の人気が上がれば上がるほど、野党も与党も忘れてしまいたい選挙となった。「当選」する為には、なんでもしでかす政党にとって「支持政党なし」はあまりにも、いさぎ良すぎた。