一方、ドイツ史専門家によると、ドイツは何らかの理由で戦争協力企業がそのまま現在に至っている場合も多いようだ。特に自動車のフォールクスワーゲンは、ヒトラーの肝いりで出来た会社だ。有名なアウトバーン建設と相まって、国民に自動車を持たせようと、ポルシェ博士が図面を引いた車だ。ポルシェ家は別にスポーツカーのポルシェを製造していたが、最終的にフォールクスワーゲンの子会社となって現在に至っている。

 ワーゲンは米国でジーゼル車の排気ガスの操作問題で苦境に立っているが、トヨタ、GMと並んで世界チャンピオンだ。昨年スキャンダルが飛び出す少し前まで、ポルシェ博士の孫、ピエヒがトップであった。ピエヒは自分の孫の通う幼稚園の先生と4度目の結婚をし、尚且つ彼女を重役にもしている。誰も反対出来ない。創業家は強いのだ。

 第二次大戦後にわかに生まれたのが韓国の財閥群となる。韓国ビジネスの初心者は、財閥と聞いて安心して取引をするが、日本の三井、三菱とは趣が違う。1997年の韓国経済危機の際、IMFの介入で各財閥は贅肉を切り落とす作業をすることとなった。その過程で大宇などの大手どころでも解体された。その後リーマンショックまでの好況期にエレキのサムスンやLGや自動車の現代などさらに世界に羽ばたいたところも多い。

 韓国の財閥は創業家がハンズオンで経営にあたる。危機当時批判された会長室機能などが、経営企画室と名前を変え一族経営が継続されている。家族経営の良い点も多々あるが、 “大韓航空のナッツリターン”はそのネガティブサイドが表に出たのであろう。いまだにオーナー経営者の力は強い。国民経済の厚みと裾野の広ができており、危機は経営と保有の適度な関係を再構築する絶好のチャンスだろう。それとも即断即決でないと前に進めないのだろうか。我が国の場合、敗戦後の手術としてオーナー経営者の退場が求められたが、韓国では今その時期にさしかかっているのかも知れない。

 時の政権が強い者を痛めつけることは、目くらましや人気取りになるが、次の政権となれば、敵の敵としてさらに強くなって復活することが多いのがこれまでの韓国財閥だ。ロッテの場合、前政権で拡大した咎ということでしかないのかも知れない。ではもう少し頑張ればいいのか。