では、お隣、中国です。9日に中国の東北特殊鋼集団が経営破たんしました。今年だけで9回も債務不履行をしているのに今まで生き延びてきたいわゆるゾンビ企業の典型であり、中国で最も頭の痛い問題であります。同社は遼寧省ですが、鉄鋼の省、河北省ではいかに鉄鋼を減産するかに取り組んでおり、同省では2020年までに省全体で3割の減産を目指すとされます。同省だけのGDPはマイナスではないかとの観測記事もありました。
景気低迷が深刻な中国遼寧省の工業地帯(共同)
景気低迷が深刻な中国遼寧省の工業地帯(共同)
 一方で住宅建設は再び加速しており、微妙なかじ取りを求められるのでしょう。痛みを伴う再編がうまくいくのか、世界の鉄鋼業界が見守る形となっています。

 そんな中、見ないふりをしていた不安材料が頭をもたげ始めました。中国の外貨準備であります。9月は5年4か月ぶりの落ち込みとなる3兆2000億ドル弱。理由はSDRへの組み込みが10月1日に行われるにあたり9月に元を買ってドルを売る作業を進めた結果、外貨の流出が増えた、ということになっています。

 問題は今後で元を買う動きが少し緩んだために対ドルで6年ぶりの安値となっているこのトレンドを止めることができるのか、であります。月曜日に攻防とされる6.70のバリアを破った後、元は売られており、火曜日のNYで6.718で張り付いています。仮に元を防衛をするならドルを売らざるを得ず、外貨の流出はさらに進みます。一方、元安の放置もできないところに当局、ひいては習近平国家主席のかじ取りの難しさを如実に表しています。一番怖いのは経済がうまく回らず、国民に不満がたまると外交でかじ取りをしようとする動きが歴史の中ではしばしばみられることです。

 そういう意味でもアメリカ大統領選がほぼ終盤に差し掛かってきた今、アメリカの政治的ポジションを見据え、英国のEUとの離脱交渉を注視し、地政学的に北朝鮮の動きをモニターしながらも世界を巻き込んだ大道芸をしないとも限りません。習近平氏は自分を守る動きに出ると思いますので世界情勢を見ながら外交的手段によるはけ口を作ることは大いにあり得ると思います。

 そんな中、日本は東アジアの安定化のためにも沈着冷静な行動が求められるのは言うまでもありません。いざというときに余力をもって対応できるよう事前の対策を万全にすることに越したことはありません。新大統領が選ばれるアメリカも盤石ではない今、日本を取り囲む国々は不安定感満載であります。ここは地続きではない独立独歩の日本が作ってきた特徴をうまく生かしてもらいたいものです。(ブログ「外から見る日本、見られる日本人」より2016年10月12日分を転載)