大会前日の6日の段階から会場には報道陣も詰め掛けており、瀬戸内さんのメッセージの波紋を7日朝にいち早く報道したのが産経新聞と、ネットニュースの産経WESTだった。このネットの配信記事が大きな反響を呼んだようだ。(http://www.sankei.com/west/news/161007/wst1610070012-n1.html
札幌地裁の法廷
札幌地裁の法廷
 正確さを期すために、記事の後半を引用しよう。
 《日弁連は7日に同市内で開く人権擁護大会で「平成32年までに死刑制度の廃止を目指す」とする宣言案を提出する。この日のシンポジウムでは、国内外の研究者らが死刑の存廃をめぐる国際的潮流について報告。瀬戸内さんのビデオメッセージはプログラムの冒頭と終盤の2回にわたって流された。この中で瀬戸内さんは「人間が人間の罪を決めることは難しい。日本が(死刑制度を)まだ続けていることは恥ずかしい」と指摘。「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。みなさん頑張って『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください。そして、殺したがるばかどもと戦ってください」と述べた》

 そして記事は最後に、全国犯罪被害者の会「あすの会」顧問の岡村勲弁護士のコメントで結んでいた。
 《瀬戸内さんの発言について、あすの会顧問の岡村勲弁護士は「被害者はみんな加害者に命をもって償ってもらいたいと思っている。そのどこが悪いのか。ばか呼ばわりされるいわれはない」と話した。》

 「死刑廃止宣言」をめぐって激論が予想されていた7日朝の報道だから、大会実行委員会側からすれば、バトルが始まる前に戦闘モードに火をつけた記事と映ったろう。案の定、「死刑廃止宣言」に反対する犯罪被害者支援に関わる複数の弁護士から瀬戸内発言に言及がなされ、その場で実行委員長の加毛修弁護士から、瀬戸内さんの発言は、決して犯罪被害者を指して言ったものではないという趣旨の説明が行われる事態となった。

 ちなみに10月7日の人権擁護大会は議論するテーマが3つあり、死刑廃止問題は3番目だったが、最も時間がさかれることになった。採決は既に報道されている通り、「死刑廃止宣言」が786人の参加者の7割弱にあたる546人の賛成で可決したのだが、反対が96人、棄権が144人もいた。8日の新聞報道も「『死刑は人権侵害』廃止宣言『遺族の気持ちは』 大会紛糾 やじ飛び交う」(産経新聞)、「死刑廃止 日弁連にも溝 賛否激論144人棄権」(毎日新聞)などと激論の模様を伝えていた。