日本が先頭に立つべし


 オバマ大統領の軍事的不介入政策を奇貨として、中国が南シナ海をわが物とする主張や行動を見せ始めたにもかかわらず、アメリカは初期対応を怠ったのである。
南シナ海の南沙諸島で警備する中国人民解放軍の海軍兵士=1月(新華社=共同)
南シナ海の南沙諸島で警備する中国人民解放軍の海軍兵士=1月(新華社=共同)
 中国の埋め立て、軍事施設の建設がどうにも止まらない、もはや後戻りさせることなどできないことが明白になって、二〇一五年六月、オバマ大統領は初めて南シナ海の実情を、映像を通じて公表することを許した。世界は南シナ海がどのように中国の海と化しつつあるかを見せつけられて驚愕した。

 アメリカは「航行の自由作戦」を展開すると宣言した。しかし米軍がスプラトリー諸島周辺にイージス艦・ラッセンを派遣したのは、それから五カ月も過ぎた昨年十月末だった。

 米国は三カ月に一度、米艦船や航空機を南シナ海に派遣すると発表し、今年一月にはパラセル諸島にイージス駆逐艦カーティス・ウィルバー、五月に再びスプラトリー諸島周辺に米海軍のイージス駆逐艦ウィリアム・P・ローレンスを派遣した。七月には、空母ロナルド・レーガンが警戒監視活動を行った。

 三カ月に一度の監視活動で、中国を抑止できるとは思えない。ただその一方で、アメリカは直接的な衝突を避けながら、中国を第一列島線内の行動に制限すべくオフショア・コントロール戦略を取っている。

 これに対し、高い潜水艦技術を有する日本が協力できる部分は大きいのではないか。日本にはアメリカの基本戦略を支える行動と決断が求められるが、その第一は、軍事的提携のために警察力による南シナ海の秩序維持のための監視体制を支えることである。

 二〇〇六年に作られた枠組みとして、「アジア海賊対策地域協力協定」がある。同枠組みはASEAN諸国に日米、韓国、オーストラリアなども加わった多国間の協力システムである。こうした枠組みをより強化する先頭に日本が立つのがよい。

 日本はすでにコーストガード(沿岸警備)の分野では、フィリピンやベトナムに航空機の派遣や巡視船の無償供与など、多大な貢献を行っている。